オリックスはなぜこんなにも強くなったのか? 阪急レジェンドOBが徹底分析 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

山田 中嶋も仰木さんの"日替わり打線"を経験しているけど、あまり使われなかったり、しんどい思いも味わっている。ただ、これは仰木さんとはちょっと違う。仰木さんは徹底してデータ、相性で起用していたけど、中嶋はそうじゃない。データもあるだろうけど、今の調子、状態をしっかり見極めて使う。とはいえ、シーズン終盤になって2カ月以上ファームだった福田(周平)を呼んで、1番で使ったり......。中嶋のなかに理由があるんだろうけど、オレにはまったくわからんことがちょくちょくある(笑)。

福本 福田は去年ゴールデングラブ賞を獲って、ええ選手になってきたなと。これで1、2番は決まったと思って京セラに行ったら出てない。その後もたまに出るくらいで、長らくファーム。調子もあったんやろうけど、「なんで?」っていう感じやったね。

山田 我々の時代は、1番・福本、2番・大熊(忠義)、3番・加藤(秀司)......と、野球を見ている人なら誰でも打順を言えたし、そういうチームが強いという認識があった。まして3連覇するようなチームはみんな固定。そういう意味で、今年のオリックスはこれまでに例のない3連覇じゃないかな。

福本 「調子がええ、よしいける!」と思った時に、出番なしとなったら「なんでや!」って腹立たんのかな。

山田 仰木さんの時も野手の不満はあったと思うけど、勝ってしまえばそれがよかったとなるのはたしか。中嶋もそこはわかっていると思う。ただ、固定しようと思えばできるけど、あえてしていない部分もあるんじゃないかな。紅林(弘太郎)にしても、福本さんと「これからショートは10年いらんね」と言っていたら、今年の開幕はファーム。中嶋に聞いたら、「ちょっと野球をなめています」と。宇田川(優希)にしても「あの体じゃ投げられない」と。そういう厳しさを持っている。

福本 選手も呼ばれたら期待に応えないと、と必死になってやったんやろうね。

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