オリックス中嶋聡監督の変貌に福本豊と山田久志は驚き「あの大雑把だった男が...」 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

── そのなかでも、しっかり監督との信頼関係ができあがっていったと。

山田 西本さんは選手のことをよく見ている。仮に福本さんが1時からバッティング練習をするってなったら、そこにいないことがないし、途中から消えることもない。ずっとゲージのうしろに立って見ている。一度、「山田ちょっと来い」と呼ばれて行くと、「おまえ何本走った?」と聞かれたから、「ポール間10往復です」と答えたら「バカやろう、8本だろ!」って。ちゃんと見てるんだよね。この人には嘘をつけないと思ったし、これだけ見てくれているんだと。そういうところから信頼が生まれていったと思います。

福本 西本さんはとにかくバッティングが好きな人で、"西本型"って僕らが呼んでいた形をほんまによう教えてもらいました。秋の練習の時に「来年までにこの形を身につけておけよ」って言われて、オフも必死にバットを振ってね。たしかに、選手のことをよく見ていました。そういうのがわかってくると、「この人を日本一にしたい」という思いが強くなっていきましたね。

【阪急対オリックスの行方は?】

── そこは中嶋監督にも通じるところだと思います。71年、72年の戦いを経て、75年から日本シリーズ3連覇、そしてリーグ4連覇。この流れを考えると、今のオリックスはさらに力をつけ、黄金時代の到来を想像したくなります。

山田 今のプロ野球は、選手の入れ替わりも激しく、連覇はもちろん、3連覇なんてもっと難しくなっている。そのなかで少し前まで下位に低迷していたオリックスがリーグ3連覇。しかも今年は、打の大黒柱だった吉田が抜けたなかで勝った。この先、(山本)由伸が抜けることがあった時にどうなるかですが、下にもまだいい若手がいますからね。それを乗り越えて黄金時代を築いていくのか、本当に楽しみです。

── 少しミーハーな質問ですが、日本シリーズ3連覇の時の阪急と、リーグ3連覇を達成した今のオリックスが戦ったら......結果はどう予想しますか。

山田 オレらが負けることはないね。簡単には勝てないやろうけど、阪急が勝つ。「まあ、かかってこい」やね。

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