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和田豊が振り返る92年のタイガース快進撃 「亀山努という計算外の選手が出てきて、チームに新しい風を吹き込んだ」 (4ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Sankei Visual

 亀山が抜擢された背景には、甲子園球場のラッキーゾーン撤去という事情もあった。その年から左中間、右中間が8mも深くなり、足も肩もある外野手が求められ、肩に不安がある38歳の真弓よりも動ける亀山、となった。しかも、取って代わったのは真弓だけではない。4月25日の中日戦。不振の7番・岡田に代わって、前日まで打率4割超えの亀山が代打で起用されたのだ。

「おっ、となりましたよ、もちろん。チャンスで岡田さんに代打というのは考えられなかったし、『いやぁ監督、思いきったな......』と。ただ、監督としては本当に重い決断だったと思います。単にこっちが調子いいからって代えたんじゃないはずです。勝つためにはこういうこともあるんだぞっていうものを、あえて選手に示したんだろうなと。

 それは岡田さんに限らずでね。実績があって、遠慮ではないけど、代打を出すなんて考えられなかった選手でも、状態が悪ければ出すよ、と。去年までとは違うよ、変わるよ、と。これは自分も後々、監督をして、より中村さんの心境がわかったから言えることですが、ともかく、92年のタイガースにとって、いちばん大きな分岐点だったかもしれません」

後編:和田豊が今も悔やむ92年のタイガースはこちら>>

(=敬称略)      

著者プロフィール

  • 高橋安幸

    高橋安幸 (たかはし・やすゆき)

    1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など

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