広島・矢崎拓也「負けがつくことは中継ぎとして価値がある」想定外だったリリーフで躍進して感じたこと (3ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Sankei Visual

── 記録がついてくることに価値を感じることはありますか。

矢崎 あまり気にしていないですね。今年、久しぶりに負けがついたんですけど、負けがつくことは中継ぎとして価値があることだと思うんです。負けている場面でマウンドに上がったら、負けがつくことはない。もちろん悔しさはありますが、負けがついたということは、そこまで(立場が)上がったということでいいかなと思っているんですけどね。4試合連続失点の時に2敗しましたけど、それでクローザーではなくなるということは、まだそれぐらいの信頼度しかなかったという裏返し。もっと積み上げられるものがあると思うので、そのへんの悔しさは多少持ちつつです。

【自分の想像を超えていけるのはうれしい】

── チームとして5年ぶりのCSは、自身にとっては初の経験になります。

矢崎 どうですかね。あんまり投げたくないと思っています。基本的に(笑)。でも、そこにいかないと経験できないことなので......。旅のゴールに価値があるというよりは、旅をすること自体に価値があると思うほうなので、それを大いに楽しめたらいいなと思っています。

── プロ野球人生もひとつの旅だとすると、来年以降の旅路はどのように描いていますか。

矢崎 どちらかというか、今年は自分を高めるという作業はしなかったんです。というのも、昨年は上で投げさせてもらったとはいえ、まだ1年だし、いいところで投げさせてもらったのも(シーズン)後半のほうでした。ポジションを確立していく、取っていくとなったら、1年、2年、3年......まずはやり続けることが、そこのポジションを奪うことだなと思っています。

 今年に関しては、自分を高めるというよりは今できることを継続して、まずそれを確立することが大事だと思っていたので、フォームを大幅に変更したりすることなくやってきました。今は結果うんぬんよりも、もっと100%の自分が出せるんじゃないかと思っています。

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