広島・矢崎拓也「負けがつくことは中継ぎとして価値がある」想定外だったリリーフで躍進して感じたこと (2ページ目)
【悔しい感情を味わい尽くす】
── 安定した投球を続けていた今季ですが、4試合連続失点(8月13、15、16、18日)というのもありました。そういった結果も受け入れられましたか。
矢崎 こんなことを言ったら怒られるかもしれないですけど、抑えをやっていて"失敗する経験までしないと、やったことにはならない"と思っていました。やられても全然OKと思っていたんですけど、(8月13日の)バンテリンドームでやられて、ちょっとひよったんでしょうね。あそこで「やられたくない」というのが、強くなっちゃったんだと思います。「前日やられたから、次の日も絶対やられる決まりはない」と思ってマウンドに上がったんですけど、やられたことから目を背けたい、弱い自分がいたなと、今になって思います。
とはいえ、何回もやられるという経験自体、これまでなかったことですから。今までは、たぶん2回ぐらい失敗したら、もう一度マウンドに上がることができない立場だったと思うので......。4回連続やられたというのは、まずはそこにいかないと起こらないことなので、それ自体に価値はあるのかなと。もちろん、その時はできることを最大限出してベストを尽くしたと胸を張れます。ただ、もうちょっとやれることはあったんじゃないかと、今は思っていますけど、その時はわからなかった。
── 4試合連続失点から見えたものとは。
矢崎 やっぱり、基本的にやられる時は自分のせいなので......そこにもっと学ぶべきことがたくさんあったと思います。あとはちょっと"悔しいという感情から逃げた"という感じはありました。"悔しい"とか"悲しい"とか、そういう感情をもうちょっと味わい尽くせればよかったかなと思いますけどね。
── 味わい尽くすとは?
矢崎 楽しいとかうれしいという感情は、(悔しいという感情の)対比としてあるものなので、もうちょっとその感情を味わい尽くせばよかったと思います。うれしいことだけ受け入れていたら、本当にうれしいのかどうかわからなくなってしまう。4試合続けて打たれて、二軍に降格して、また上がってきた時もすぐにホームランを打たれたので、これは続きすぎだなと。この悔しい感情をしっかり味わわなきゃと思ってからは、だいぶスパッと切り替えられた感じはありましたね。
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