阪神は38年ぶり日本一へ第一関門のCSを突破できるか 名コーチが不安視する「空白の2週間」

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Koike Yoshihiro

 阪神が9月14日の巨人戦に勝利し、18年ぶりの優勝を飾った。2位に10ゲーム差以上をつける圧倒的な強さでペナントを制した阪神だが、38年ぶり日本一への道のりはまだ長い。その第一関門となるのがクライマックス・シリーズ(CS)だ。阪神は10月18日から始まるCSファイナルステージで、ファーストステージ(3戦2勝制)を勝ち上がったチームと戦う。CSファイナルは6戦4勝制で実施され、優勝チームには1勝のアドバンテージがある。しかも試合はすべて優勝チームの本拠地で行なわれるなど、阪神にとっては圧倒的有利な条件での開催となる。だが、何が起きるかわからないのが勝負の世界。阪神にとっての不安材料とは何なのか? 解説者の伊勢孝夫氏に聞いた。

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【CS初戦までの過ごし方】

 岡田彰布監督が胴上げされる光景を眺めつつ、私はこんなことを思っていた。「こりゃ、あとが大変だなぁ」と。そう思った理由は、ほかならぬCSファイナルステージまでの時間の使い方だ。いつも話題になることではあるが、今回は優勝決定からCSファイナル初日までなんと1カ月以上もある。ペナントレース最終戦からでも2週間ある。この"ブランク"をいかにして埋めるのか。当然、岡田監督もあれこれ策は練っていると思うが、容易なことではない。

 まず、岡田監督なりに考えているなと思ったのは、たとえば優勝決定後、個人タイトルや規定打席、規定投球回をクリアする選手らを積極的に起用していることだ。本来、優勝決定後の試合は"消化試合"と言われ、真剣勝負の感覚よりも"実戦調整"となってしまうのだが、目の前にクリアすべき目標を持った選手を使うことで、ベンチに緊張感をもたらそうとしているのがわかる。

 それでも打線は優勝が決まった途端、静かになってしまった印象だ。やはりどこかで"安堵感"が生まれ、調整感覚というか、練習のような意識で打席に入っている選手が多くいるように感じる。消化試合でこの調子だったら、実戦のなくなる2週間をどう過ごすというのだろうか。

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