DeNA松尾汐恩が経験した「濃密な時間」 大田泰示のベンチでの姿から学んだこと (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Sankei Visual

 もちろん、キャッチャーのインサイドワークにも釘づけになった。

「戸柱(恭孝)さんのピッチャーへの気遣いや、(山本)祐大さんの配球。ピッチャーだけではなく、チーム全体を見ながらのプレーは勉強になりました。非常に視野が広いと感じましたし、自分もこういう風にプレーしなきゃなって思いました。試合全体の流れというのか、キャッチャー目線でいろいろ考えながら見させてもらいましたが、"自分だったらこうするのに"と思うところでけっこう違っていたりして、配球面で学ぶところは多かったですね」

 試合をじっくりと観察する一方、ベンチでは若手らしく声を張り上げ、チームを鼓舞しようと努めた。

「大田(泰示)さんの横で声を出させてもらったんですけど、声がけひとつにもいろいろあるんだなって。大田さんのチームメイトへの目配り、気配り、確認など、声がけの種類の多さというか......やっぱこれが一軍なんだなって」

 五感で触れた一軍での時間。この2日間は松尾にとってかけがえのない経験になった。

「バッティングに関しても、いろいろな選手からお話が聞けましたし、技術的にはまだまだだなと感じることも多かったのですが、この貴重な経験をしっかり持ち帰ってファームで実践できるようにしたいですね。そしていつか先輩方と肩を並べられるように、そして一軍の戦力になれるように、これからも練習をしていきたいと思います」

 いつかはベイスターズの正捕手に。誰もが松尾の台頭を期待している。

【フレッシュオールスターでの抱負】

 そんな松尾は7月18日に富山市民球場(アルペンスタジアム)で開催される『フレッシュオールスター2023』のメンバーに選出された。有望な若手選手たちが集う祭典に挑むにあたり、松尾は次のように語る。

「選ばれたことは非常に光栄ですし、期待に応えられるいいプレーを、楽しみながらできたらなと思っています。とにかく元気にやっている姿をみなさんに見ていただけたらうれしいですね」

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