「選手に拒絶されることが多かった」球団広報が「ホークスと結婚した女」と呼ばれるまでの苦労 大人気SNSの舞台裏を語る (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

●選手の「素顔」「本音」を引き出す

 ただ、これが転機にもなった。「周りを気にせずに、どんどんやっちゃっていいんだって、逆に解放されました」と加藤さんが言うように、選手との向き合い方が変わるきっかけになった。

「チームやその選手がいい時も悪い時も、私は変わらないでいようって思いました。よくても悪くても話しかけるし、よくても悪くても放っておく。普段と変わらない一定の姿勢を保っているように気をつけています」

 もちろん選手たちから次第に理解されるようになったことも大きいだろうが、加藤さんのマイルールが確立されたことで、選手との距離はぐっと縮まった。

 そして、加藤さん自らが選手の円陣の輪に入ったり、ハイタッチの列に加わったりと、独自の映像を発信するようになった。

「メディアの方が取り扱えないような、選手の素顔に近い部分、オフィシャルだからこそ撮れる映像を出していこうっていうのが一番だと思います」

 我々外部のメディアの人間には、なかなかできないこと。同じ情報を発信する立場として、白旗を上げるわけではないが、ちょっぴりうらやましくもある。

 インタビュー動画も、加藤さん自身が撮影者とインタビュアーを兼ねている場合が多い。

「選手に、私が1対1で話を聞く時の雰囲気と、カメラマンや音声もいる時の雰囲気とではまったく違います。選手の素が一番出るのが1対1なんですよ」

この記事に関連する写真を見る カメラを回していない時でも、普段から選手とコミュニケーションをとることを大事にしているという。だからこそ、加藤さんに対して選手がぼそっと本音を漏らす場面も出てくる。

 WBCでのサムライジャパンの活躍を追ったドキュメンタリー映画『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』のヒットも記憶に新しいが、戦いの舞台裏は我々が普段見ることができない場面だからこそ、ファンも大きな関心を傾けるのだろう。

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