石毛宏典が考える、渡辺久信が西武の監督1年目しか優勝できなかった理由 「自主性」がもたらしたプラスとマイナス (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――石毛さんが考える理想のGM像とは?

石毛 まず、自分のチームの戦力をしっかり分析できること。同じリーグの他の5球団と比較してどこが勝っていて、どこが足りないのかを把握し、どこを補強するのか。足りない部分を明確にして、「そのためにはこういう選手を育てたり獲得しよう」と判断することや、どういう監督、コーチがいたらいいのかといったことを分析しなければいけません。

 もちろん球団によって予算があるので、予算内でどうやって戦力を充実させていくか。現在の戦力でどんな戦い方をして、何年かけて優勝できるチームを作っていくのかという中期のビジョンを設定できないとダメだと思います。GМとはこうあるべきだ、というのは人それぞれだと思いますけどね。

――渡辺さんとそういった話をする機会はありましたか?

石毛 ナベちゃんがGMになったばかりの頃だったと思いますが、宮崎での西武のキャンプに視察に行くと、「石毛さん、こちらへどうぞ」と歓待してくれて。つきっきりで話し込みましたね。

 昔話に花を咲かせたりもしましたが、どんなキャンプをしていて、どんな選手がいるのかという話も。あと、松井稼頭央(現西武一軍監督)がちょうど二軍監督になった頃だったので、そのことについても話したり。

――今の西武は、昨シーズンオフには森友哉選手がFAでオリックスに移籍するなど、2018年、2019年のリーグ優勝に貢献した選手たちが減ったこともあり苦しい状況です。GМの役割も大きくなる?

石毛 そうですね。先ほどお話ししたように、場当たり的なテコ入れではなく、中期のビジョンを描いた上でのチーム作りが求められると思います。GМであるナベちゃんの果たすべき役割はより大きくなると思いますが、一緒に戦った仲間ですし、頑張ってもらいたいですね。

(連載9:最強助っ人デストラーデは1年目、83試合で32本塁打「これはすごい選手が来た」>>)

【プロフィール】
石毛宏典(いしげ・ひろみち)

1956年 9月22日生まれ、千葉県出身。駒澤大学、プリンスホテルを経て1980年ドラフト1位で西武に入団。黄金時代のチームリーダーとして活躍する。1994年にFA権を行使してダイエーに移籍。1996年限りで引退し、ダイエーの2軍監督、オリックスの監督を歴任する。2004年には独立リーグの四国アイランドリーグを創設。同リーグコミッショナーを経て、2008年より四国・九州アイランド リーグの「愛媛マンダリンパイレーツ」のシニア・チームアドバイザーを務めた。そのほか、指導者やプロ野球解説者など幅広く活躍している。

◆石毛宏典さん公式YouTubeチャンネル
「石毛宏典TV」はこちら>>

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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