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持っている男・斎藤佑樹が大学最後に放った名言「僕が持っているのは仲間です」はいかにして生まれたのか (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

【持っているのは仲間】

 11月3日は秋晴れでした。1回表、早稲田はヒット、ヒットで得点を挙げて(3度のエンドランを絡めた6安打で竹内から初回、3点を奪った)、気持ちとしてはラクに投げられました。目の前のバッターをひとりずつと思っていたら、ノーヒットピッチングが続いていて、5回を投げきった時に、まだヒットを打たれてないよなと、何となく意識したのを覚えています。

 そのまま7回までノーヒットピッチングを続けましたが、8回のワンアウトをとったところで初ヒットを打たれてしまいました。そこからあれよあれよと5点を取られて、7−5と2点差まで詰め寄られます。

 それでも優勝決定戦ですから、僕のピッチング内容も点差も関係ありません(9回に3点をとって10−5と突き放した)。9回は大石(達也)が投げて、僕はベンチから見ていましたが、5点差ありましたし、もう大丈夫だと思っていました。

 その時に頭を巡っていたのは、春に優勝できなくて、最後の最後までこうして苦しんで戦ってきたことへの主将としての責任でした。でも、やっと勝てる、やっと優勝できるとなったとき、4年間、一緒に戦ってきた4年生や、ついてきてくれた後輩たちの顔を眺めていたら、ふと"仲間"という言葉が浮かんできたんです。だからインタビューでああいう言葉が出てきたんだと思います。もちろん覚えてますよ、『僕が持っているのは仲間です』って言いました(笑)。

(※優勝インタビューで斎藤は「あの、最後に、ひとつだけ言わせて下さい。本当に、いろんな人からも『斎藤は何か持ってる』と言われ続けてきました。ただそれは、今日、その、何を持ってるのか確信しました......それは、仲間です。チャンスを回してくれた仲間、応援してくれた仲間、慶應大学というライバルがいて、ここまで成長できたと思っています」と答えている。)

 終わってみれば大学での4年間で31勝しましたが、もっと勝てたと思う試合はいっぱいありましたし、2位が3度もあったんですから優勝の回数だってもっと増やせたはずです。

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