OB星野伸之から見た、吉田正尚が抜けたオリックス打線の新たな強み 中嶋聡監督は「もっとも苦労している年」 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――今シーズンの中嶋監督の選手起用や采配はどう見ていますか?

星野 吉田という特別な打者が抜けたこともあり、監督に就任して以降、もっとも苦労している年なんじゃないかなと。チーム打率(リーグトップの.258)もいいし、ホームラン(リーグ3位)も出ていますが、打線は水物ですし、ヒットでつないでいくのは難しい。

 しっかり送りバントを決めるとか、フォアボールをもう少し選ぶとか、そういう打線のつながりが必要になってきます。リーグ優勝した時には福田がいい粘りを見せていましたが、長いシーズンにおいては、そういうことがちゃんとできるかどうかがポイントになると思います。

 それと、(5月24日の楽天戦で)紅林がサヨナラホームランを打った時、中嶋監督が手首の使い方をアドバイスしたようですが、本当に細かい部分まで選手をチェックしているなと。紅林は一塁走者を進めたい時などに、インコースの球、緩い球もしっかり右に打てるようになってきました。打率(.248)は低いですが、内容的にはかなり変わってきていると思います。今後は守備だけじゃなく、打撃での貢献が増えていくことを期待しています。

 ピッチャーに関しては、「この真っ直ぐだったらいける」と思えば、ベンチから「真っ直ぐでいけ」と指示を出すぐらい大胆にいかせるとキャンプでも言っていましたね。そういう部分に、キャッチャー出身監督ならではの眼力を感じます。

(中編:山本由伸が今年「捉えられる」理由を星野伸之が分析 リリーフ陣は1、2点差のビハインドで課題も>>)

【プロフィール】

星野伸之(ほしの・のぶゆき)

1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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