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OB星野伸之から見た、吉田正尚が抜けたオリックス打線の新たな強み 中嶋聡監督は「もっとも苦労している年」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

星野伸之インタビュー 前編

オリックス野手陣について

 6月7日時点でパ・リーグトップに立つオリックス。昨シーズンまで打線の中心だった吉田正尚(レッドソックス)が抜けても好調な要因とは? 新加入した森友哉の攻守に渡る活躍、打線の状態、中嶋聡監督の選手起用や采配などについて、オリックスOBの星野伸之氏に聞いた。

キャッチャー、打者としても活躍するオリックスの森友哉キャッチャー、打者としても活躍するオリックスの森友哉この記事に関連する写真を見る***

――今シーズンからオリックスでプレーする、森友哉選手のリード面はいかがですか?

星野伸之(以下:星野) 中嶋聡監督のもとで「捕手としてもっと成長したい」
と移籍してきましたが、しっかりバッターを見て裏をかくようなリードもしています。バッティングも大きな期待をかけられているなかでよくやっていると思います(打率.282、7本塁打)。
 
 別のチームに移籍すればサインも変わりますし、ピッチャーのサインも全部覚えなきゃいけない。さらに、ピッチャーの性格も含めていろいろなことを把握しなければいけません。西武のスコアラーとはミーティングも違う部分も多いでしょうし、大変だと思いますよ。

――同じキャッチャーの、若月健矢選手の存在がいい刺激になっている?

星野 そうだと思います。西武の時は完全にレギュラーだったので、どれだけ疲れていても「自分がマスクをつけなきゃ」という感じだったと思います。でも、今シーズンは若月も頑張っているので非常に刺激があるんじゃないですか。

 森はファウルチップが直撃して右足部骨挫傷になった時も「出られます」と言っていたみたいですが、それぐらい気持ちが充実している証拠ですし、いろいろなことを貪欲に吸収しようとしていますね。西武在籍時もピッチャー陣がよかったので、それを引っ張ってきた自信もあるだろうし、経験がミックスされている感じなんじゃないでしょうか。

――キャッチャーとしての森選手と若月選手の違いは?

星野 どのコースを使うか、変化球が多い・少ないといった部分での違いはあまり感じませんが、構えはけっこう違います。森のほうが体が小さいので的が小さいのに対し、若月はガバっと足を開くので的が大きい。僕は的が小さいほうが投げやすかったですが、どちらが投げやすいのかはピッチャーによって違うと思います。

 あと、これはオリックスのチームとしての攻め方になるのですが、通常であれば「そろそろフォークを投げるかな」というところで、その日のピッチャーの真っ直ぐが走っていればポンっと真っ直ぐを投げさせることもある。

 まずはデータありきで、そこにバッテリーの感覚を加えてリードしているのは、森と若月に共通していることです。チームとして「こう投げなさい」はなく、バッターを見ながら「感覚でいきなさい」という感じなのかな、と思います。

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著者プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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