高木豊がセ・パのルーキーを評価 「井端弘和より上にいくかも」と絶賛の内野手、二刀流で注目の日本ハム矢澤宏太は「心配」 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

【まだ真価を発揮できていない逸材ピッチャー】

―― 一方で、ピッチャーで注目のルーキーは?

高木 ヤクルトの吉村貢司郎は以前から注目していましたが、ちょっと疲れが見えます。(4月23日の)巨人戦では甘いボールばかりでしたが、本来はあんなに甘いボールを投げるピッチャーではないと思うんです。

――以前、「ふた桁勝てる力がある」と評価されていましたが、いい部分は?

高木 制球力です。それと変化球が多彩なのですが、変化球を投げる時にフォームが緩む癖があるのかなと。いいバッターはフォームの緩みで「変化球だ」と察知しますからね。そのあたりの課題が解消されていき、本来の制球力が戻れば、十分に勝てるピッチャーになっていくはずです。

――ヤクルトは打線が低迷中です。

高木 投打の歯車がしっかりしてくると勝てるピッチャーだと思いますが、経験が浅い中でこれだけ打線が低迷していると、「抑えなきゃいけない」というプレッシャーがかかってきます。「3、4点ぐらいならひっくり返してくれる」という信頼があれば大胆に投げられるでしょうが、現状の打線では厳しいです。

――以前に高木さんが「完成度が高い」と評価されていた投手では、日本ハムの金村尚真投手もそうですね。

高木 変化球が抜群によくて、球に力もありますし、真っ直ぐはスピンがものすごく効いています。開幕ローテーションにも入って、「先発陣の柱としてふた桁は勝つだろうな」と可能性を感じていたのですが、故障してしまいましたね(右肩の張りで4月19日に出場選手登録を抹消)。

 ただ、「あの投げ方で故障するのか?」と不思議なくらい、いい投げ方をしているんです。大学時代(富士大)は8割程度の力で投げていて、ピンチの時などにギアを入れれば勝てたと思うのですが、プロだと全力でいかないと勝負できない場面が多いでしょうから、疲れが溜まったのかもしれません。故障してしまったのは残念ですが、早い復帰を期待しています。

(後編:波乱のパ・リーグの現状。予想外のロッテ首位、ソフトバンク苦戦の理由、日本ハムの「理解できない」起用法も>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に解説したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

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