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辻発彦が語る至高の走塁術「足が速いだけじゃダメ」「走らないのも武器の意味と現役ナンバーワン選手は?」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshiphoto by Koike Yoshihiro
  • photo by Koike Yoshihiro

── シーズン60個以上の盗塁は、セ・リーグは2005年の赤星憲広さん(阪神)、パ・リーグでは2011年の本多雄一さん(ソフトバンク)以来、出現していません。投手のクイックの技術向上も要因のひとつでしょうか。

 そうですね。昔は江川卓さん(巨人)のように、走者がスコアリングポジションに進んでから真剣に投げる投手も多かった。最近は投手のほとんどがしっかりクイックモーションで投げますからね。昔のように、簡単に走れなくなっているのかもしれません。

【全選手グリーンライトの意図】

── 辻さんが注目する盗塁、走塁にすぐれた選手は誰ですか。

 かつての福本豊さん(阪急)はべらぼうに速かったですよね。そうでなければ、シーズンで100個以上も盗塁できません。現在では、周東佑京選手(ソフトバンク)がやはり速いですよね。走るとわかっている場面で出てきて、しっかり決めるんですから、技術的なことはもちろん、メンタルの強さを感じます。あとは "サニブラウンに勝った男"の 五十幡亮汰選手(日本ハム)も速いです。でも、足が速いだけではダメなんですよ。野球というのは、「走らないのも武器」ですから。相手バッテリーにプレッシャーを与えるだけで、全然状況が違ってきます。

── ロッテは2021年、22年とチーム打率はリーグ5位でも盗塁数はダントツで、得点は上位(21年リーグ1位、22年リーグ3位)でした。ロッテの機動力野球をどう見られていましたか。

 カウント2−2からのヒットエンドラン、ランエンドヒットが多かったイメージがあります。決まればチャンスは拡大するし、ゲッツーになる確率は下がります。その一方で、打者は走者のスタートが見えるのでボール球に手を出すかもしれないし、見逃せば三振ゲッツーの可能性もある。それがよくないというのではなく、そういう意味で一長一短かもしれません。

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