辻発彦が語る至高の走塁術「足が速いだけじゃダメ」「走らないのも武器の意味と現役ナンバーワン選手は?」 (3ページ目)
── 辻さんの西武監督時代は、「山賊打線」と呼ばれた強力打撃陣でしたが、盗塁のサインは積極的に出されていたのですか。
辻 昨年はコーチと相談して、全員が自分の判断で自由に走ってもいいという "グリーンライト"でした。いいスタートを切れればそのまま盗塁すればいいし、ダメだと思ったらやめればいい。グリーンライトをインプットしておけば、選手たちは慌てない。それに打者もストレートなら打ってもいいと思うだろうし、緩い変化球なら見逃せば盗塁の成功率は上がる。つまり、グリーンライトはそこまで考えなさいよ、ということです。それだけ野球というスポーツは奥が深い。
たとえばサインひとつとっても、バントなどは1個つくっておけばいい。送りバント、スクイズ、プッシュバント......。しかし、今はそれぞれを別に分けて、サインが複雑化しています。本来は、自分で頭を使って状況を考えてやるべきなんです。強かった頃の西武は、選手個々が自分たちで考えて、野球をやっていましたね。
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