大谷翔平のWBCの活躍にテニス界も騒然「勝負強さに惹きつけられるの!」とアメリカNo.1女子テニス選手もぞっこん! (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

【甦る錦織圭初優勝の記憶】

 翌日、マイアミオープン会場のプレスルームに行くと、顔見知りのアメリカ人記者が「おめでとう!」と声をかけてくれた。

「おいおい、ここには落ち込んでるアメリカ人もいるんだぞ。気をつけてくれよ〜」

 周りのアメリカ人記者が明らかにおどけて落ち込み、件の記者氏は「おっと、ごめんよ」と笑い声をあげる。

 あれ? この光景、デジャブだぞ──。そう思った次の瞬間、思い出した。

「おめでとう!」と声をかけてくれた記者氏は、2008年に錦織圭がマイアミに近いデルレイビーチで米国人選手を破りツアー初優勝した時、錦織がいかにすばらしいかを熱狂的に語り、周りの米国人記者から「おいおい、君はどこの国の人だよ!」と笑顔でいさめられていたのだった。

 ベタな物言いではあるが、スポーツは国境も、空間も、時間も越えて、人と人の縁をつなぐ。きっと、このWBCを介して多くの人々が感情と思い出を共有し、いつかどこかで、新たな交流や出会いが生まれる。

プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

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