大谷翔平のWBCの活躍にテニス界も騒然「勝負強さに惹きつけられるの!」とアメリカNo.1女子テニス選手もぞっこん! (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

【テニス取材で大谷の名前が...】

 だが、トップバッターの大谷翔平がツーベースを放ち、二塁ベース上で咆哮を上げ、両手を上げてチームメイトをあおった時、球場の雰囲気も一変する。そこからは観客たちも終始、総立ち。最後、村上宗隆の弾丸ライナーで日本がサヨナラ勝ちした瞬間は、歓喜の叫びと悲痛の呻きが共鳴し、聴覚も意識も飛びそうになる。

 前の席に座っていた母娘とは、初対面だが絶叫ハイタッチからのハグ。なぜかお互い「ありがとうございます!」と叫び合ったが、そんな気分だったのだ。

 母娘のとなりに座っていたメキシコファンは、申し訳ないほどに悄然としていた。ただ、ほどなくして笑顔になり、彼女たちに「おめでとう」と声をかける。彼らが陽気だったのは、メキシコがリードしていたからだなんて思って、失礼しました。彼らは心からスポーツ観戦やその場の雰囲気を、そして人々との交流を楽しんでいたのだろう。

 メキシコ戦の翌日......つまり「日本vsアメリカ」の決勝戦当日のテニス会場では、主要選手たちのプレトーナメント会見が行なわれ、アメリカ人の間ではWBCが話題にのぼった。

 なかでも「今日の決勝は見に行く予定!」と興奮気味だったのは、アメリカ女子ナンバー1選手で世界ランキング6位のココ・ガウフ。弟が『フロリダ州最優秀キャッチャー』にランクされるほどの高校球児ということもあり、19歳の彼女自身も野球はよく見ていたという。

「だから今晩、観戦に行くのがとても楽しみ! もちろんアメリカを応援するけれど、ショウヘイ・オオタニが見られるのも楽しみなの! 彼も(ガウフと同じく)ニューバランスの契約選手だから応援しないとね」

 期せずして、テニス界のスター選手の口から飛び出た大谷翔平の名。ここはチャンスと「彼のどこが好きなの?」と聞いてみると......。

「だって彼は、あらゆる面で優れているもの。たとえば昨日のように、ここぞという場面で強いこと。9回に彼がツーベースヒットを打ったから、日本は勝てた。そういう選手に私は惹きつけられるの」

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