WBC準決勝で対戦する日本とメキシコの因縁の歴史 過去の対戦成績は圧倒しているが大谷翔平対策は万全か (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Getty Images

 また2019年にオリックスでプレーし、禁止薬物使用の疑いで途中退団となったジョーイ・メネセスは、このオリンピックでは主軸を任され、翌年のメジャー昇格の足がかりとした。

 いよいよ明日、日本とメキシコが戦う。これまでのプロ主体の代表戦は10勝2敗で日本が圧倒している。しかし今大会のメキシコは、ロースター30人中20人がメジャーリーガーという豪華布陣だ。レッドソックスで吉田正尚のライバルになるであろうアレックス・ベルドゥーゴ、昨シーズン20本塁打を記録したランディ・アロサレーナ(レイズ)、ここ2シーズンで39本塁打のルイス・ウリアス(ブルワーズ)らが名を連ねる打線は、破壊力では日本を凌ぐだろう。

 そして昨シーズン、ナショナルズでメジャーデビューを果たしたメネセスは、56試合の出場で13本塁打を放ち、今や一塁のレギュラーポジションを手にしようとしている。

 日本打線に挑む先発投手は、エンゼルスで大谷翔平と同僚のパトリック・サンドバルが予想される。昨シーズン6勝9敗、防御率2.91と一流とは言えないものの、この数字は大谷に次ぐものである。1次ラウンドではアメリカ戦に先発し、勝利に貢献している。またベンジー・ギル監督もメジャーに戻ればエンゼルスのコーチをしており、打者・大谷対策は万全と思われる。

 ともに同時期にプロリーグを発足させ、国内リーグを世界第2のパワーハウスにまで成長させた日本と、メジャーに多くの人材を輩出しているメキシコ。WBCでの17年ぶりの戦いは、これまでになく熱いものとなりそうだ。

プロフィール

  • 阿佐 智

    阿佐 智 (あさ・さとし)

    これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。

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