星野伸之が注目する今季のオリックス投手陣 大谷翔平に似た3年目右腕は「衝撃的」、左腕のドラ1ルーキーは「即戦力」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by Sankei Visual

星野伸之が語る今季のオリックス 投手編

 昨シーズン、他のチームを凌駕する強固な投手力を中心に、リーグ2連覇、日本一を成し遂げたオリックス。山崎颯一郎がWBCに緊急招集され、侍ジャパン入りした投手が4人となったが、今シーズンの注目ピッチャーは誰なのか。長らくオリックスのエースとして活躍し、引退後はオリックスの投手コーチも務めた星野伸之氏に聞いた。

星野氏が注目する山下舜平大(左)とドラ1位ルーキーの曽谷龍平星野氏が注目する山下舜平大(左)とドラ1位ルーキーの曽谷龍平この記事に関連する写真を見る***

――春季キャンプ、オープン戦と、新戦力を含むピッチャー陣を視察されたと思いますが、注目しているピッチャーは?

星野伸之(以下:星野) 高卒3年目の右腕・山下舜平大です。ブルペンで投げていたのですが、非常にフォームのバランスがいい。僕が見た時は6、7割ぐらいの感覚で投げていたと思うのですが、軽く投げて154kmも出ていたので、「おいおい、待てよ。スピードガン盛ってる?」と(笑)。出力を上げたら160kmを超えて、160km台中盤にも届くんじゃないかというくらい衝撃的でした。

――課題を挙げるとすれば?

星野 まだウイニングショットと呼べるボールがありません。現状、変化球はカーブがありますが、やはり空振りが取れるボールは覚えたいところです。

野茂(英雄/現パドレス アドバイザー)がキャンプに来た時にフォークを教えてもらったようですね。オープン戦でも時々フォークを投げていますが、精度が上がっていったら、ちょっと恐ろしいことになるんじゃないかなと。野茂は真っ直ぐとフォークだけで抑えたピッチャーでしたし、一番いい人から教わったなと思いました。

 フォークも人によっていろいろな握り方がある。どうすればあれだけ落差のあるフォークを投げられるか、という話も聞けていると思いますし、あとは自分でどう生かすかだけですね。

――山下投手は今シーズン、一軍の先発ローテーションの一角に入ってくると思いますか?

星野 1年間きっちり、ということではなく、シーズン途中や後半戦からならあり得るんじゃないでしょうか。二軍スタートだとは思いますが、結果を出していけば一軍のローテの谷間で投げるような感じになると思いますし、打たれてもある程度のイニングは投げさせるんじゃないかと。打たれたら打たれたで勉強になりますし。

 あと、投げ方が大谷翔平(エンゼルス)にちょっと似てるんです。近年の大谷は、昔に比べてテイクバックをコンパクトにしていますが、その投げ方に似ています。もともと体格に恵まれていますが(190cm・98kg)、体もできあがってきていますし、いよいよ今年に出てくるかなと。高卒の選手だからといって、4、5年もかかる場合はなかなか難しいので。

――カーブはどうでしたか?

星野 真っ直ぐもそうなのですが、投げている時の体のバランスがすごくいい。踏み出した足がズレることなくピタッと地面について、前に体重移動をした後に片足で立つような感じになっているんです。あれだけ速い真っ直ぐがあるので、緩急をつける意味で有効だと思います。

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