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青木宣親が村上宗隆に贈る唯一のアドバイス 「弱いところを見せなかった」イチローのリーダー像や3度のWBCを振り返った (4ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 青木は自身のWBC初出場の時を振り返り、村上にこうエールを送る。

「いまさら村上にアドバイスなんてないです。ただ僕が初めてのWBCに出場した時は、先輩たちについていくこと、自分の役割をしっかりこなすことに必死だった。とにかく自分のできることを精一杯やる。これだけでしたね。だから村上も、持っている以上のことは出す必要はないし、考えなくてもいい」

 初めてのWBCで堂々のパフォーマンスを見せた青木だったが、じつは今も後悔していることがひとつだけあるという。

「買っていないんですよ。なんで買わなかったんだろう......」

 青木が買わなかったものは指輪である。しかもただの指輪ではなく、WBCの優勝を記念してつくられたチャンピオンリングで、デザインしたのはイチローだった。

「ムネ(川﨑)に見せてもらったらすごく豪華で、カッコいいなと思って......なんで買わなかったんだろうって、すごく後悔しました。チャンピオンリングというのは日本にはないから、見たこともなかったし、想像もできなかった。メジャーではワールドシリーズに勝ったら、チャンピオンリングをつくるというのを、その時初めて知ったんです」

 たしかに、WBCの優勝を記念してつくられたチャンピオンリングは、24歳の若者が簡単に買えるような代物ではない。

 そして青木の後悔から3年後、第2回WBCで日本は再び頂点へと上り詰めた。そして前回同様、イチローがデザインしたチャンピオンリングがつくられ、青木は迷うことなく購入した。だから、青木が村上に何かアドバイスすることはあるとすれば......世界一になりチャンピオンリングがつくられるのであれば、迷わず購入しろということだけである。

著者プロフィール

  • ブラッド・レフトン

    ブラッド・レフトン

    1962年、米ミズーリ州セントルイス生まれ。地元ラジオ局で大リーグ取材に携わった後、92年ミシガン大学で修士号取得。その後、NHKの番組制作に携わるため来日。96年に帰国。現在、日米両国の雑誌やテレビでフリージャーナリストとして活躍中。日本人メジャーリーガーや日本でプレーする外国人選手の取材を積極的に行なっている。

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