青木宣親が村上宗隆に贈る唯一のアドバイス 「弱いところを見せなかった」イチローのリーダー像や3度のWBCを振り返った (3ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 それでもイチローの立ち居振る舞いに、青木は感動を覚えたという。

「絶対悔しいはずなのに、苦しい素振りをまったく見せなかった。どんなに結果が出なくても、次に切り替えていた。すごいなって、感動しました。こういう人が大活躍するんだって」

 その後、青木は2017年のWBC第4回大会にも参加した。この時はチーム最年長、唯一のメジャーリーガーとしての参加であり、これまでと立場は違った。リーダー的な役割を託された青木は、自分なりのやり方でチームを引っ張った。

「チームとして戦う時って、意思を統一させることが重要。もちろん、チームとしてプレーでの決め事はあるけど、自分のなかではみんなが同じ考えであったり、同じ方向を向くことが大事になると思っています。オフからオンへの切り替えや、状況によって何をすべきかが変わってくる。だから、ちょっと悪い流れだなと思ったら声を張り上げるとか、失敗した選手がいれば励ましてやるとか、僕はそういったことを意識しました。当然、自分自身がプレーで見せないといけないという気持ちはありましたけど、みんなが前向きにプレーできるように......とは考えていました」

【青木宣親が今も悔やむこと】

 そして青木は、今年開催される第5回WBCについては、ファンとして楽しみたいと言う。ヤクルトからは高橋奎二、中村悠平、山田哲人、村上宗隆の4人が選ばれた。なかでも期待を込めるのが、昨年、史上最年少で三冠王を獲得した村上だ。2021年の東京五輪でも日本代表の一員として金メダル獲得に貢献したが、WBCは初めての経験となる。

「今回WBCに出場することで、また感じることがあると思うんです。しかも東京ラウンドを勝ち上がって準決勝に進めば、フロリダで試合をする。環境が変わることによって、これはもう少し変えたほうがいいとか、もうちょっとこのままでいこうとか、いろいろと選択が求められる。その時にいい選手というのはしっかりとアンテナを張っていて、環境が変わってもうまく適応できるんです。村上には、自分の出した決断に自信を持ってほしいし思いきりプレーしてほしいですね」

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