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阪神・岡田彰布監督の「魔法の言葉」で関本賢太郎は長距離砲を断念。「お前、勘違いしたらあかんで」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by Sankei Visual

――選手とは積極的にコミュニケーションをとるタイプではない?

関本 そうですね。公私混同するタイプでもありません。でも、練習では本当にひとりひとりの選手をよく観察しています。岡田さんに何も言われない時は状態がいい証拠、という感じでした。

 賢い方で、常にいろいろな角度から物事を見ている印象があります。ちなみに僕は、10年ほど岡田さんの下でプレーさせてもらったので、岡田さんが言う「アレ」とか「ソレ」が何のことを言っているのかが大体わかるのですが......最初のうちは理解するのが難しいと思います。聞き手が理解していてもそうでなくても、岡田さんはずっとあの調子ですけどね。

――先ほど、岡田監督がかけてくれる言葉は"魔法の言葉"というお話がありましたが、関本さんが岡田監督からかけられて印象に残っている言葉はありますか?

関本 僕が二軍の試合で、2打席連続でバックスクリーンにホームランを打ったことがあったんです。当時はバットを長く持って打っていて、長距離打者を目指していたのですが、おそらく岡田さんは、「関本は長距離打者としては一軍で通用しない」とわかっていたと思うんです。

 ある日、「お前、勘違いしたらあかんで」とだけ言われたことがあって......。当時はその言葉の意味を「二軍でホームランを打ったからといって勘違いするな。一軍で打ってなんぼやぞ」という意味だと思っていたんです。でも、真意は「関本の目指すところはそこじゃない」ということだったんでしょう。

 そこから岡田さんの指導を受けていく中で、ピッチャーに球数を投げさせるしぶとさ、バントや右打ちといった"つなぎ役"など、自分のプレースタイルが確立された時に、ようやく本当の意味がわかりました。即効性のあるアドバイスをくれる時もあれば、その選手が長期的に目指すべきところを示してくれることもある指導者だと思います。

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