中日・山浅龍之介に漂う「名捕手」の匂い。高卒ルーキーが一軍キャンプに抜擢された理由 (3ページ目)
【実戦力の高い打撃も注目】
キャンプが進めば、バッティングの筋のよさも次第に露わになるだろう。
昨年の夏の甲子園で、山浅は16打数4安打(打率.250)と目立ったインパクトは残せなかったが、美しいライナー性の打球、選球眼のよさはバットマンとしても十分に可能性を見せつけた。決して"金属バット"に仕事をしてもらっているタイプではない。
打の才能の片鱗が見えてくるのは、キャンプ中盤だろう。シートバッティングから紅白戦、そしてオープン戦へと進んでいくなかで、「実戦力の高さ」が持ち味の山浅のバッティングにより注目が集まるはずだ。
昨年の中日は、正捕手の木下拓哉が120試合でマスクを被り、それに次ぐのが石橋康太の28試合。高卒ルーキーがもっとも食い込みにくいとされてきた"一軍捕手"の座を、昨年ロッテの松川がシーズンを通してマスクを被り続け、定説を崩してみせた。
アマチュア時代、山浅の"プロ仕様"のプレーを何度も見てきた者として、彼には松川と同じ匂いを感じずにはいられない。キャッチャーボックスにいてくれることの存在感と安心感。「頼もしさ」と表現していいかもしれない。
松川同様、1年目から一軍捕手の一角に山浅が食い込んだとしても、驚くことはないだろう。それほどに、山浅には捕手としての能力と可能性が詰まっている。
著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。
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