西武を「戦う集団」にするために。石毛宏典が松井稼頭央新監督に求めるのは「厳しさ」と「選手を見極める目」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

 2023年から西武一軍の指揮を執る松井稼頭央新監督。2019年から2021年までは西武の二軍監督を務め、2022年は辻発彦(本来は1点しんにょう)前監督のもとでヘッドコーチを務めていたこともあり、チームの強みも弱みも十分に把握しているだろう。

 4年ぶりのリーグ優勝、その先の日本一に向けてチームはどう変わるのか。1980年代中盤~1990年代中盤の西武黄金時代、長らくチームリーダーとして常勝軍団を牽引した石毛宏典氏に、現役時代の松井監督の印象、新シーズンに向けた期待、現在の西武の課題などを聞いた。

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――石毛さんは1994年まで西武に在籍していましたが、同年に松井監督はプロ野球選手としてスタートを切りました。当時、接点はありましたか?

石毛宏典(以下:石毛) 1年目の松井はずっと二軍にいて、一軍での試合に出始めたのは2年目からですし、接点はほぼなかったですね。

――松井監督はPL学園から西武に入団し、プロ入り3年目にはショートのレギュラーを奪取して130試合にフル出場。リーグ2位の50盗塁をマークするなど存在感をアピールしました。若き選手時代の松井監督をどう見ていましたか?

石毛 PL学園ではピッチャーをやっていてプロ入りする時に野手に転向しましたが、高卒の選手としては比較的に早く野手として結果を出しましたね。ピッチャーを獲ってピッチャーとして育てるのではなく、野手として育てる。今ではそういうケースもあまり珍しくなくなりましたが、おそらく松井がその"走り"だったんじゃないかな。

 スカウトがずば抜けた身体能力を高く評価し、「野手でもいける」と判断したんでしょう。そんなに体は大きくありませんが、バネとパワーがすごかったですね。ボールを捕ってから投げるまでの動作は現役時代を通じてそんなに上手ではなかったですし、スローイングも安定感に欠けていましたが、身体能力でカバーしている部分はあったと思います。

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