西武を「戦う集団」にするために。石毛宏典が松井稼頭央新監督に求めるのは「厳しさ」と「選手を見極める目」 (4ページ目)
【リリーフの起用は臨機応変に】
――昨シーズン、即戦力ルーキーとして期待された隅田知一郎投手は1勝10敗、防御率3.75と苦しみました。2年目に向けてどんなことを意識すべきでしょうか。
石毛 彼は順応性があると思いますが、それでさまざまなことを試しすぎて墓穴を掘ってしまった部分もあったように見えます。昨シーズンの課題を精査して踏ん切りをつけ、どんなピッチングスタイルでいくかを定めるべきです。
急に球が速くなることはないので、球種のコンビネーションや、打者との駆け引きを改善してきっかけをつかめれば安定したピッチャーになれると思います。左腕ですし、隅田がシーズン通して先発ローテーションで回ってくれるようになれば大きいですよ。
――リリーフ陣では、今年までセットアッパーやクローザーを務めてきた平良海馬投手の先発転向が決まりました。層の厚さで不安はないでしょうか。
石毛 増田達至も以前ほどの球威はないし、7、8、9回をどうするのか。オリックスの首脳陣のように、臨機応変な投手起用ができるかどうかがポイントになると思います。オリックスは平野佳寿をクローザーに固定するのではなく、阿部翔太、最終盤は(ジェイコブ・)ワゲスパックもクローザーで起用していました。
勝利の方程式を決めれば首脳陣はラクです。「任せた。やられたら俺の責任だ」と割りきれるわけですから。ただ、試合も長丁場のペナントレースも"生き物"です。リリーフ陣を固めたら仕事は終わり、ではなく、決めておきながらもどう臨機応変に対応していくのか。というところを、松井をはじめとした首脳陣に期待したいですね。
【プロフィール】
石毛宏典(いしげ・ひろみち)
1956年 9月22日生まれ、千葉県出身。駒澤大学、プリンスホテルを経て1980年ドラフト1位で西武に入団。黄金時代のチームリーダーとして活躍する。1994年にFA権を行使してダイエーに移籍。1996年限りで引退し、ダイエーの2軍監督、オリックスの監督を歴任する。2004年には独立リーグの四国アイランドリーグを創設。同リーグコミッショナーを経て、2008年より四国・九州アイランド リーグの「愛媛マンダリンパイレーツ」のシニア・チームアドバイザーを務めた。そのほか、指導者やプロ野球解説者など幅広く活躍している。
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【著者プロフィール】
浜田哲男(はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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