「ポスト吉田正尚」の最有力、オリックス来田涼斗が目指す「糸井嘉男のフィジカルと吉田正尚の打撃力」
Sportiva注目若手アスリート「2023年の顏」
第6回:来田涼斗(プロ野球)
2023年にさらなる飛躍が期待される若手アスリートたち。どんなパフォーマンスで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。
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吉田正尚の穴など、埋まるはずがない──。
そうとらえるのが、偉大な打者への最大の敬意ではないだろうか。吉田は今オフにポスティングシステムを利用し、ボストン・レッドソックスに移籍した。5年総額9000万ドル(約126億円)という大型契約を結び、あらためてその価値を世界に知らしめた。
一方で、2023年にリーグ3連覇を狙うオリックスにとって、絶対的な中軸が欠けるダメージは大きい。西武から森友哉を獲得する大きな補強はあったものの、2023年は吉田の不在を痛感するシーンがきっと何度もあるだろう。
ただし、吉田が抜けるということは、新たなスターが誕生する可能性があるということでもある。その筆頭候補として名前を挙げたいのが、来田涼斗だ。
プロ1年目にプロ初打席本塁打の衝撃デビューを飾ったオリックス・来田涼斗この記事に関連する写真を見る
【タイミングが計れない男】
2020年ドラフト3位でオリックスに入団した20歳。ルーキーイヤーの2021年7月13日の日本ハム戦(ウインドヒルひがし北海道スタジアム)、プロ初打席で初球をライトスタンドに放り込む衝撃的なデビューを飾っている。
そこで、来田に勝負のプロ3年目を迎えるにあたっての意気込みを聞くべく、インタビューを申し込んだ。
最初にどうしても聞きたいことがあった。それは高校時代の話だった。
── 明石商の狭間善徳監督がよく「来田はタイミングが計れない男」と評していました。本人はしょっちゅう指摘されていたのではないかと想像します。
来田 (苦笑)
── 最初にタイミングのことを言われた時は、どんな感想を持ったのでしょうか?
来田 感想ですか? ......自分は言われても何も思わないタイプなんです。「打ったらいいやろ」みたいな感じで(笑)。
── 狭間監督の迫力を知る者からすると、驚きの感想です。来田選手は「自分のことは自分が一番わかっている」という自負が、人一倍強いのではないでしょうか。
来田 そうですね、周りからもよく言われるんですけど、自分は自分を持ってるらしいです(笑)。
── 狭間監督のようにキャラクター性の濃い監督から何か言われて「怖い」とか、ひるんでしまう感情はなかったですか。
来田 はい。もうずっとマイペースだったんで。自分のペースでやってました。
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