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清原和博が「なんや、今の球は?」と驚愕。名捕手・鶴岡慎也が選出する「とんでもない球を投げた5人の好投手」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

武田久(元日本ハム)

 武田久さんは駒澤大、社会人野球の日本通運を経て、僕と同じ2002年のドラフト4位で指名されてプロ入りを果たしました。(二軍施設のある)鎌ヶ谷で一緒に汗を流しただけに、思い入れのある投手です。入団後はなかなか実力を発揮できず、プロ生活も最後かなと開き直った4年目、リーグ最多の75試合に登板し、40ホールドを挙げて"最優秀中継ぎ"のタイトルを獲得しました。

 身長は170センチと小柄ですが、ステップ幅を広げて、ヒザが地面に着くほど低く沈んだ体勢から投げる浮き上がるようなストレートは独特の軌道でした。

 そして久さんと言えば、シュートです。最近は、右打者の懐に食い込みながら沈む軌道(ツーシーム)のボールが多いのですが、久さんのシュートは真横に滑る感じで曲がってきます。2006年に当時オリックスに在籍していた清原和博さんが打席に立って、久さんのシュートに「なんや、今の球は?」と思わず声を上げたのを覚えています。あの清原さんが驚いたくらいですから、すごい曲がりをしていたんだと思います。

 このシュートで腰を引かせたあと、外角低めに糸を引くようなストレート。まったく隙のない、気概あふれるピッチングでした。

 2009年にクローザーを務め、リーグ優勝に貢献。最多セーブのタイトルを3度獲得するなど、球界を代表する投手になりました。通算167セーブ、107ホールドと、史上8人しかいない「100セーブ・100ホールド」達成は、苦労していた時期を知っているだけに感慨深いですね。

大谷翔平(日本ハム/現・エンゼルス)

 ダルビッシュが2011年のシーズンを最後にメジャー入りし、大谷翔平が日本ハムから指名されたのが2012年でした。そして翔平の1年目(2013年)、プロ初勝利を挙げた中日戦(6月1日、セ・パ交流戦)でマスクを被っていたのが私でした。

 高校3年で160キロをマークし、鳴り物入りで入団しましたが、当時はまだ荒削りな部分が多かった。しかし指にしっかりかかった時のストレートの衝撃は、今もはっきりと記憶しています。

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