清原和博が「なんや、今の球は?」と驚愕。名捕手・鶴岡慎也が選出する「とんでもない球を投げた5人の好投手」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

デニス・サファテ(元ソフトバンクなど)

 ダルビッシュ有に続く2人目は、デニス・サファテです。彼は1981年4月9日生まれ、僕は1981年4月11日生まれ。生年月日も近く、同じ2014年にソフトバンクに移籍したこともあって、親しくさせてもらいました。

 サファテもダルビッシュ同様、ストレートがすばらしい投手でした。打者はストレートとわかっていても空振りする。なぜなら身長193センチが投げ下ろすため角度があり、打者としてはミートポイントの接点が少ないからです。最速159キロとスピードもあって、高めのボール球にもつい手が出てしまう。

 ストレートのほかにもフォークやカーブもありましたが、マスクを被っていて「ストレートだけでも打たれない」と感じました。クレバーな投手で、日本人の打者には角度のあるストレートが有効と判断して、意識的に高い位置から投げていましたね。

 サファテは「日本に来てから成長した」と語っていましたが、2017年にマークした54セーブはいまだ破られぬ日本記録。クローザーとしての能力は異次元でした。

千賀滉大(ソフトバンク)

 千賀は2010年に育成ドラフト4位で入団。2013年に51試合で17ホールドを挙げ、頭角を現しました。僕はその翌年にソフトバンクに移籍してきたのですが、2015年あたりから先発に転向し、いわば発展途上から超一流にのし上がっていく過程でバッテリーを組ませてもらいました。

 千賀と言えば代名詞の「お化けフォーク」が有名ですが、当初は捕手泣かせのボールでした。今でこそしっかりコントロールできていますが、かつてはどう変化するのかわからない球で、それでいて落差がすごい。だからフォークのサインを出す時は、全球ブロッキングの体勢をとる必要がありました。彼のおかげでブロッキングの技術は磨かれたと思います(笑)。

 ストレートは160キロを超え、パワー型のイメージがありますが、千賀もダルビッシュのように指先が器用な投手で、スライダーやカットボールの"曲げ球"も得意で、打者にとってはものすごく厄介なボールになっていると思います。

 また千賀は7年連続2ケタ勝利を挙げ、しかもすべて貯金5以上。これはヴィクトル・スタルヒン(巨人など)、別所毅彦さん(南海→巨人)、稲尾和久さん(西鉄)以来、史上4人目の記録だそうです。まさに正真正銘の大エースです。

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