オリックス・伏見寅威が語る「同い年のライバル・中村悠平への思い」「村上宗隆封じへの秘策」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

「(山﨑)福也さんと組んだ時の伏見さんは緩急の使い方が抜群で、いろんな球種を万遍なく使いながら相手バッターに的を絞らせない。うまいなぁと思います。そういうところ、僕ももっと勉強しなきゃ、ですね。僕は四隅を突くようなタイプでないピッチャーに対しては、わりと自信があるというか......球種が多いピッチャーよりも力で押すピッチャーのほうが得意なのかもしれません。とにかくストライクが入る球種をどんどんストライクゾーンの中へ突っ込ませるイメージでリードするんです。実際、伏見さんに『どうやってリードしてんの』って聞かれると、それだけでもう、うれしくなっちゃいます」

 その言葉を伏見に伝えると、彼はこう言った。

「いやいや、僕より若月のほうが試合に多く出ているので(実際は、今シーズンの先発マスクは若月が52試合、伏見が66試合)、僕が優れているなんて思ったことはないんですが、若月はピッチャーを生かすのがうまいんです。ふだんだったら僕が使わない球でも『とりあえず一回、使ってみました』と言って使えちゃう。ピッチャーができることを優先して、ピッチャーのよさを引き出しているのが若月だと思っています。

 僕も同じことを意識しているつもりでも、やっぱり人それぞれ考え方が違って、どうしてもサインの出し方も変わってくる。緩急の使い方が武器だと言ってもらうことは多いけど、でも、たまたま僕が組んでいるピッチャーが緩急を得意としているということもあるんですよね。僕が若月に聞いた時には、『緩い球を使うタイミングがわからないし、怖い』とも言っていて、ああ、そういう感情を持っているのかと驚きました。僕にはそういう感情がないから、もしかしたらそこは僕の長所なのかもしれません」

 伏見にとって、今シーズン、忘れられない試合がある。9月2日、ZOZOマリンでの一戦。マリーンズの先発は佐々木朗希だった。

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