「亀新フィーバー」に沸く陰で、人生初の代打交代で大暴れするベテラン岡田彰布の姿に戦慄が走った

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Sankei Visual

 ただ見て、来た球を打つような野球から、ここへ投げさせるためにどう振り、どう見送るか......というような野球に変わった。ファームではそこまで細かくなかったから、亀山自身、これまで以上に考えて野球をするようになり、自ずと夜遊びする時間もなくなっていた。

 一方、チームは6月末から7月の頭にかけて7連敗。また低迷に逆戻りかと思われたが、復調した先発の野田浩司が連敗を止め、快投を続けていく。前半戦は貯金4、首位巨人に1ゲーム差の2位で折り返した。

 亀山は和田豊、久慈らとともにファン投票でオールスターに選出され出場。亀山の得票数は王貞治(元・巨人)に次ぐ史上2位と、まさに絶大な人気のスターだった。

「うれしかったですよ。オールスターはテレビで見ていた世界ですから。ただ、出ることで、体は休めない。本当に大事なのはペナントレースなので、体力的にはうれしくなかったですね」

選手の人生を狂わせた大誤審

 後半戦、阪神は大きな連敗もなく、ヤクルト、巨人、広島との首位戦線に踏みとどまる。9月に入り、8日には4チームが3ゲーム差にひしめくも、阪神は翌9日の広島戦から19日の横浜戦まで1つの引き分けを含む7連勝。2位巨人に3ゲーム差、3位ヤクルトに3.5ゲーム差をつけて首位に立った。

 だが、問題は「引き分け1」だ。11日、甲子園でのヤクルト戦。3対3の同点で迎えた9回裏、二死一塁から八木裕が放ったライナーは左翼席に飛んだ。平光清塁審が右腕を回して「本塁打」。サヨナラ2ランにナインは歓喜し、スタンドは大歓声となった。ところが、ヤクルト側から「打球はラバーフェンス内側にあたり、スタンドインした。エンタイトル二塁打では」と抗議があった。

 審判団協議の結果、判定を訂正。怒った阪神側は「この承諾はできない」と、ベンチ内で審判団と折衝。最終的には37分間の中断の末、エンタイトル二塁打となり、試合再開。延長15回でも決着がつかず、史上最長となる6時間26分の死闘は当時の規定で引き分け再試合となった。

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