佐々木朗希の好不調の波が激しいのはなぜか。清水直行は、捕手・松川の配球問題や投球術を覚える必要性を指摘した (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

――今後、中長期の視点で考えた時の佐々木投手の課題は?

清水 佐々木に対しては「伸びしろしかない。もっと成長できる」といった声もあったりしますが、「じゃあ、投手の成長って何なの?」と思うんです。先発投手がローテーションで1年間投げていくうえでは、貯金ができることや、故障なくローテーションを守ることが大事になります。

 先発投手である彼に望むことは、24連勝した時の田中将大のような、1年間フルに活躍してチームに多くの貯金をもたらすこと。そう考えると、ある程度"ピッチング"を覚える必要があります。

――その「ピッチング」とは、対策をしてくる相手チームを上回るために必要な投球、ということでしょうか。

清水 そうですね。見る側が佐々木の魅力だけに取り憑かれてしまうと、真っすぐだけをバンバン投げて打ち込まれても、「佐々木の魅力は真っ直ぐだから」とフォローしかしなくなってしまう。佐々木本人は意識していると思いますが、打者を抑えていくためのテクニックを、打たれる中で覚えていかなければいけない。シーズン、ポストシーズンまでフルで投げたら25~26試合くらいになるので、その中で成長するためには遅い球も投げていくべきですし、配球も考えていかなければいけないと思います。

――開幕前に清水さんに話をお聞きした際、今年の佐々木投手の注目すべき点について、「シーズンを通じてどういうふうに投げていくかに注目したい」と言われていました。

清水 今はいろいろな壁に当たっていると思いますが、自分で感じて、考えて、覚えていってほしいです。ここまで100イニング(109.1回)ぐらい投げて、最終的には150イニングくらい投げるのかなと思いますが、打たれた要因や体力的な問題、相手が自分に対してどういう対策を練ってきているのか、といったことにしっかりと向き合ってほしい。

 単純に、カーブやスライダーの割合を増やすといったことではなく、「打者にこう対応されているのであれば、こういうボールも必要だな」とか、「試合の前半に飛ばしすぎるときついから、ペース配分を考えよう」といったように、体験から得られた課題の改善を繰り返すことが大切です。そうして、ピッチングスタイルを確立していってもらいたいですね。

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