佐々木朗希の好不調の波が激しいのはなぜか。清水直行は、捕手・松川の配球問題や投球術を覚える必要性を指摘した (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

 佐藤は佐々木が投げる試合でファーストを守っている時や、ベンチから投球を見る中で「こうじゃないかな、ああじゃないかな」と自分なりに研究をして、いつバッテリーを組んでもいいように準備していたと思います。その楽天戦では、遅いボールを少し多めに使って緩急をつけたりして、真っ直ぐやフォーク一辺倒にならないように気をつけていましたね。カーブを多めに要求していたことが効果的でした。

 もともと、佐藤のリードは変化球が多い傾向があります。真っ直ぐでグイグイ押すというよりも、変化球を使いながらかわして、ときどき真っ直ぐという印象です。グシャっと詰まらせたり、「いけるところまで来い」という感じではなく、崩そうとするタイプ。今後も同じ感じで抑えられるとは思いませんが、そういうリードが26日の楽天戦ではハマったのかなという気がします。キャッチャーが代わったことで、楽天側もちょっと考えたり迷ったりした部分もあったんだと思います。

――3本のホームランを打たれた19日の試合と、好投した26日の試合で、佐々木投手に変化は?

清水 ボールの質は、そんなに変わっていなかったと思います。(26日の試合は)ヒットは3本しか打たれていませんでしたが、いい当たりもありましたし、数字ほど完ぺきに抑えた感じではなかった。なんとか7回を91球でまとめたという印象でした。

 とはいえ、「前の試合と比べれば少し持ち直したかな」と安心しました。19日の試合はチームが打ち勝ってくれて、次は自分でしっかり投げて勝ちをつけるという、少しずついい流れになってきていると思います。

――右手のマメをつぶして途中降板しながらも、4回10奪三振の快投を見せた7月1日の試合や、7回無失点に抑えた8月26日の試合はZOZOマリンスタジアム。ともに5失点を喫した8月3日と19日の試合は楽天生命パーク宮城でした。球場との相性に関してはいかがですか?

清水 確かに、マリンでの防御率(0.65)と被打率(.124)はとてつもなくいいですし、マリンのマウンドが投げやすいんでしょうね。ドーム球場では、東京ドームでの投球はさておき(巨人戦で5失点。防御率7.20)、京セラドーム大阪(防御率2.25)とPayPayドーム(防御率1.50)は悪い数字ではありません。

 ちなみに、マリンと同じ屋外球場の楽天生命パークでも防御率は悪い(防御率6.75)ので、屋外球場とドーム球場という点は関係なさそうですね。佐々木の場合は、「マリンかそれ以外か」という感じです。

 マリンでの試合はロッテが後攻で、「よ~いドン!」でマウンドに上がることができるので、それが投げやすいのかもしれません。自分の現役時代もそうでしたが、ホーム球場だと決まった時間にマウンドに上がるので、時計を見ながら準備ができますから、合わせやすいんでしょう。

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