チーム最多登板で防御率0点台。DeNA伊勢大夢が「根拠なき自信」を失って得たもの
「正直に言えば疲れがないとはいえません。ただ不安は一切ありませんし、準備もしっかりしてきたので自信を持って、これからもやっていきたいと思います」
横浜DeNAベイスターズの伊勢大夢は、確信を込めた口調でそう語った。
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今シーズン好調の理由
プロ3年目、今季はここまでチーム最多の29試合(データは6月13日現在、以下同)に登板し、防御率は0.64。開幕当初こそビハインド登板でのスタートだったが、コロナ禍で苦しかったチーム事情のなか、交流戦前まで21試合無失点を記録するなど気を吐き、今やなくてはならないセットアッパーとして君臨している。
好調を絵に描いたような今季ではあるが、オープン戦は決していい状態ではなかった。7試合に登板し防御率5.40。不安感を抱いたものの、伊勢は自分自身で原因を突き止め修正したという。
「自分のいい時の動画を見直して、あることに気がついたんです。僕は投げ出しの時、右腕を下ろすのですが、その位置を修正すべきではないのか、と。木塚(敦志)コーチに相談したら、確かにそうかもしれないということで一緒に取り組みました。結果的に腕の上がりやすさも変わりましたし、自分で気がつけたのはよかったなって」
自ら原因に気づき修正できたことに、伊勢の投手としての成長を感じてならない。また、昨季からの大きな変化といえばフォアボールの数が減ったことだろう。
「一昨年、昨年と三振をとれていたわりにはフォアボールが多かったんです。極端に言えば、三振かフォアボールか。以前はフォアボールからガタっときてしまうことが多々あったのですが、今はそれがなく自信を持って投げられていますね」
フォアボールが減れば、おのずと球数は減っていく。昨年は1イニング平均16だった球数が、今季は約14で納まっている。わずか2球と思うかもしれないが、シーズンをトータルでみればこの差は大きい。
「今年、これだけ投げさせてもらっているのは、球数を減らすことを意識していることも要因だと思っているんです。序盤、コロナ禍でリリーフの砂田(毅樹)さんやヤス(山﨑康晃)さんがチームから離脱して、中継ぎのひとりとしては球数を減らして1イニングでも多く投げなければいけないという考えがありましたし、それが実践できたからこそ今の登板数につながっていると思いますね」
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