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元ヤクルト鎌田祐哉が不動産業で積み上げてきた信頼と実績。1年後輩の石川雅規の活躍には「刺激をもらってます」 (3ページ目)

  • チャッピー加藤●文 text by Chappy Kato
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

不動産業の「スーパー・オールドルーキー」に

 それまで野球ひと筋で、一般企業には何のツテもなかった。しかもその時点で34歳。新卒の学生よりひと周りも上というのは、就職活動において大きなハンデになる。まずは早大時代の先輩を訪問。挨拶回りから始めたが、やはり年齢のことを気にする企業が多かったそうだ。

 そんな時に知人から紹介されたのが、現在勤務する城北不動産だった。

「最初は『食事でもしませんか?』という話だったんですが、専務が同席して、そのまま面接のような感じになったんです。よその会社は『年上の部下は扱いづらい』という雰囲気があったんですが、今の会社は『一緒に頑張ろう』と言ってくれたのが決め手になりました」

 入社した頃は、コピーを頼まれても「A3をA4にして」の意味がわからず、電話も取ったことがなかったため、なかなか適当な言葉が出てこなかったという。幸いここでも、上司に恵まれた。

「最初に配属された課の課長が、大の野球好きだったんです。私に合わせたペースで、不動産の基本的なことを丁寧に教えてくれたのはありがたかったですね」

 あえて「鎌ちゃん」と親しみを込めて呼んでくれたおかげで、周りの社員とも早く打ち解けることができた。

 そのうち、新築一戸建ての営業にも出るようになった。まずは担当地区・練馬区の道を覚え、住所を覚え、周辺を歩き回って地図を頭のなかに叩き込んだ。「現役時代は電車にほとんど乗らなかったので、駅名を覚えるのがひと苦労でした」。それでも1年目からひとりで営業回りをこなし、家を売ったというから、まさに"スーパー・オールドルーキー"である。

「やっぱり、いちばん大切なのは"信頼"だと思います。家は一生の買い物ですから、『この人に任せても大丈夫』と思われないといけない。信頼感を得るためには、何をしたらお客さんに気に入ってもらえるのか? 初対面の時から、相手のことをよく見て、どういうアプローチで接していったらいいのかを考えるのが大事だなと思いました」

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