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万波中正、佐藤輝明、清宮幸太郎、根尾昂、安田尚憲......名コーチが期待のスラッガー5人の長所・課題を診断 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

---- 技術面はいかがですか?

「テイクバックをとる際に上体をねじって、左ヒジが体の内側へ深く入るのが気になります。この使い方だと、バットがスムーズに出てこないんです。低めの球は打てても、高めは打ちづらいんじゃないでしょうか。私は正確性、再現性が打撃の基本要素だと考えていますが、彼にはまだ十分に備わってないように見えます」

---- 期待が高いからこそ、要求も高くなってしまいます。

「絶対に能力はあるのだから、小さくまとまってほしくありません。上体をねじってトップを作るのではなく、グリップを捕手側に引いてトップを作る。そのほうがボールとの距離感が取れて、正確にとらえられるようになるはず。有望な選手だからコーチ陣も口を挟みにくいのかもしれませんが、私は打撃の基本原則を教えることは大事だと思います」

4年目・根尾昂の課題とは?

---- 今季4年目を迎える根尾昂(中日)もレギュラー獲得が期待されています。

「外野一本に絞ったとなると、よほどバッティングで特徴を出さないといけませんね。今年から立浪和義が監督になりましたが、彼は立浪の現役時代とタイプが似てきました。パワーヒッターではないので、より正確にとらえなければいけません」

---- 高校時代から強くスイングしたい意図を感じる打者でしたが、長距離砲ではないということですね。

「鈴木誠也(カブス)のように中距離打者から体を鍛えて長距離砲になる例もありますが、根尾は体格的に恵まれているわけではないですから。過去3年の成績を見ると、打率が.165で長打率は.211、出塁率は.238。これでは一軍のレギュラーとしては使えませんよね」

---- 今季の根尾はどう見ますか?

「素直にバットが出ているように感じます。変に肩を入れて反動をとらず、シンプルに打ちにいっている。ボールをつかまえにいく時のバットの入り方がいいです」

---- 課題があるとすれば、どんなところでしょうか。

「続けることじゃないですか。結果が出ないとすぐにフォームを変えてしまうと聞きますが、フォームをつくるには我慢強くならないと。思考力のある選手だと聞きますが、自分自身を生かすための知恵を『続ける』という方向に生かしてほしいですね」

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