「勝利を求めればいい、という考え方は時代遅れ」。ソフトバンクGMが語る野球競技人口減少への対策やNPBの未来
【短期連載】なぜ日本のFA制度は活用されないのか
第5回「ソフトバンク三笠GMが語るFAと育成のバランス」@後編
◆第5回@前編はこちら>>「又吉克樹の獲得について聞いた」
コロナ禍で日本では外国人の入国制限が敷かれ、プロ野球でも新たに契約した選手が来日できないなど、多大な影響が表れている。"助っ人"とも言われる彼らは優勝争いを大きく左右する存在で、各球団がどんな戦略を持って獲得するかは運営方針が色濃く表れる部分だ。
NPB随一の選手層を誇るソフトバンクでは、キューバ勢が長らく主力を担ってきた。2021年シーズンオフには右打者のアルフレド・デスパイネ、ジュリスベル・グラシアル、"最強左腕"リバン・モイネロと契約延長を果たしている。さらに育成枠では、ドミニカ共和国とメキシコから10代の3選手、21歳の投手を獲得した。
◆第1回はこちら>>日本のFA制度は機能不全となっている?
◆第2回はこちら>>選手と監督、両方の立場でFAと向き合った谷繁元信氏の主張
◆第3回はこちら>>日米のFA制度、文化の違いから考える
◆第4回はこちら>>チーム戦略部長・壁谷周介氏にDeNAの未来図を聞いた
リバン・モイネロもキューバで見つけた逸材だこの記事に関連する写真を見る カリブ海諸国で開拓を進める理由について、ソフトバンク三笠杉彦GMはこう説明する。
「なぜスカウトを中南米に置いているかと言うと、ラグビーでいうニュージーランドと同じで人材の宝庫だからです。組織におけるダイバーシティを考えた時、まずアプローチするのは中南米だろうと思っています」
ソフトバンクは今後も才能豊かなラティーノを発掘する方針で、その任務を前線で担うのが萩原健太スカウトだ。もともと日本ハムで英語の通訳をしており、のちにスペイン語を習得してソフトバンクで中南米を担当するに至った。
昨年には現役東大野球部員の齋藤周(あまね)氏とGM付データ分析担当として契約して話題になったが、ホークスは選手以外でも各分野でスペシャリストを揃えている。
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