ヤクルトからの戦力外通告に「オレだったのか」。近藤一樹が独立リーグでNPB復帰より果たしたいこと (4ページ目)

  • 島村誠也●文・写真 text & photo by Shimamura Seiya

 時間は経ち、気がつけば月が顔をのぞかせていた。室内練習場では選手たちが練習を続けていた。

「万が一、NPBに復帰できたとしても、年齢を考えれば本当に短い期間です。もともと現実的な人間で、そろそろ区切りをつけるタイミングだと感じています。香川では教えがいのある選手たちに出会い、彼らの成長は本当にうれしい。僕もたくさんの指導者との出会いがあり、今の自分があるのもそういう方たちのおかげだと思っています。

 出会った選手がみんな上に行けたらうれしいですけど、現実的には難しい。でも、ひとりでも多く、上の楽しさを経験してほしい。本当にうらやましい生活をしますし、独特の生活感なので(笑)。将来的には、僕も選手としてではなくとも上で出会えるかもしれません。そういう楽しみもあるので、野球から離れることはないと思っています」

 古巣であるヤクルトについて聞くと、「もちろん気になりますよ」と笑った。ヤクルトは数日前まで隣県である愛媛・松山市で公式戦を開催していた。

「選手たちに練習を見学させたかったのですが、コロナでそれができなかったのは残念でした。チームは調子いいですよね。じつは息子がヤクルトファンで、とくに山田(哲人)と村上(宗隆)が大好きで、電話をすれば『今日は誰と誰が打ったよ』と教えてくれるんです。個人的には、石川(雅規)さんのことが気になりますし、結果を見て『勝ちましたね、ナイスピーです』って連絡します(笑)。石川さんも『コンちゃん(近藤)、最近どう? 大丈夫?』って、いつも気にかけてくれています。

 古巣といえば、この前、オリックスの三軍と試合をしました。在籍当時お世話になった方がたくさんいて、すごく久しぶりという感じで。やっぱり出会いやつながりという意味で、古巣って気になる存在ですね」

 後日、ヤクルトの石井弘寿コーチに「香川の近藤選手を訪ねてきました」と伝えると、「あいつ痩せていませんでしたか?」と心配そうな表情を見せた。

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