八重樫幸雄の稲葉ジャパン総括。「期待以上」だった甲斐拓也の成長と「裏MVP」のバッター

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

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【祝・侍ジャパン金メダル! 八重樫はこう見た!】

――さて、先月の話題となってしまいますが、稲葉篤紀監督率いる侍ジャパンが見事に金メダルを獲得しました。八重樫さんは試合をご覧になっていましたか?

八重樫 何試合かはテレビで見ました。金メダル獲得はすごくうれしかったけど、ある意味では「まぁ、順当だよね」という思いもありますね。参加チームも少なかったし、コロナ禍ということで、満足に有力選手をそろえられなかった国もあったし。一方で、日本は「地元開催」ということで、早くから万全の準備をしていましたから。

東京五輪で日本代表の正捕手を務めたソフトバンクの甲斐拓也東京五輪で日本代表の正捕手を務めたソフトバンクの甲斐拓也この記事に関連する写真を見る――とはいっても、「地本開催だから絶対に金メダルを!」というのは、かなりのプレッシャーになっていたと思います。

八重樫 確かに稲葉のプレッシャーはとても大きかったと思いますし、選手もプレッシャーがかかる中で結果を出すのは簡単ではないです。でも、決勝を戦ったアメリカチームは、メジャー選手は選出されず、ほぼマイナー選手だった。日本でプレーする選手ばかりだったから、やっぱり「日本有利」は変わらなかったですよね。関係者たちも「よく頑張った」と思いつつ、「優勝して当たり前だよ」という思いも持っていると思いますけどね。

――侍ジャパンの中で印象に残っている選手はいますか?

八重樫 甲斐拓也が、僕の期待以上に目立ちましたね。守りにしても、打つにしても、すごく光っていた。開幕の対ドミニカ共和国戦でのセーフティスクイズ、ノックアウトステージ初戦のサヨナラタイムリーも立派だったし、リードもスローイングも、2019(令和元)年のプレミア12の時よりも成長しているのがよくわかりました。

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