八重樫幸雄の稲葉ジャパン総括。「期待以上」だった甲斐拓也の成長と「裏MVP」のバッター (4ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

――同じくルーキー、広島の栗林良吏投手の印象はいかがですか?

八重樫 面白いピッチャーですね。キレイに落ちるボールがいい。シーズンでも安定したピッチングをしているけど、オリンピックでもいかんなく実力を発揮した。彼もまたいい度胸をしていて、見ていて気持ちがいいピッチャーでしたよ。

――八重樫さんが現役だった頃は、国際大会とは無縁でした。でも、高校時代に日本代表として海外チームと戦った経験はありますよね。

八重樫 一応、名称は「全日本代表」だったけど、ユニフォームに日の丸が刺繍されていたわけじゃないし、地球の裏側のブラジルで戦ったから世間の注目も低かった。「日の丸の重み」というほど、大げさなものではなかったですけどね(笑)。

――常にしびれるような戦いが続く国際大会で活躍する現役選手を見て、「うらやましいな」と思ったりはしないですか?

八重樫 そういう思いもあるけど、逆に「今の選手は大変だな」という思いのほうが強いです。今の選手たちは試合が大好きな子ばかりだから平気なんだろうけど、ペナントレースがあって、国際大会があって、オフも短くて、本当に大変だと思いますよ。でも、岩村明憲たちが第1回のWBCに出てから、ヤクルトの選手たちも「日本代表に選ばれたい」と目の色が変わって急に熱心に練習するようになったから、僕らにはわからない魅力があるんでしょうけど。

――さて、次回からは八重樫さんも指導した稲葉篤紀さんについて伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

八重樫 稲葉や、オリンピックに2度出場している宮本(慎也)などは僕が打撃コーチだった頃の選手だから、思い出も多いですよ。次回から、じっくりとお話ししましょうか。

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