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ヤクルトに浸透する「青木イズム」。稀代のヒットメーカーが姿勢で伝えてきたこと (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

「たとえば、青木さんは体の使い方がうまいのですが、今の自分にそれが実現できるかと言われたら難しいです。僕には青木さんのような"芯"がまだないので、まずは自分の形を定めて、そのなかでわからないことがあったら聞きに行こうと思っています」

 これこそが、青木が求めている姿だったのではないだろうか。

 5月26日、神宮球場での日本ハム戦で青木は日米通算2500安打を達成。試合後の会見で「3000本安打を目指したい気持ちはあります」とコメントした。

「そのためには、自分がチーム内で勝っている状態をつくっていきたい。外野はポジションが3つあるので、そのひとつは守っていけるようにしたいですし、チームにとってもいいことだと思います」

 試合が始まれば「いいボール来てるよー!」「ここから粘って!」と、レフトの守備位置から投手を激励する青木の声を聞かない日はない。

 その光景を眺めていると、2017年に青木が日米通算2000本安打を達成した時、福地寿樹外野守備・走塁コーチが言った言葉を思い出した。福地コーチは、現役時代に青木からのアドバイスのおかげで打撃が向上したことへの感謝を述べたあと、少しいたずらっぽくこう語っていた。

「青木はバッティングで悩んでいると、守備についてもこうやって(腕を組んで)ジーッと動かないことがあったんです。それを見ながら『コイツ、バッティングのことを考えているな』って(笑)」

 冒頭の小川監督の「別人になって戻ってきた」という言葉は、青木が"打者"だけでなく"野球選手"として、ひと回りもふた回りも成長していたことを意味していた。6月3日の楽天戦(神宮)では、待望の今季初本塁打と猛打賞。39歳になった今も、青木は成長を続けている。

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