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「逃げたら、どうなりますか」。アテネ五輪時の主将・宮本慎也が本戦直前に高木豊に漏らした言葉 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――アテネ五輪の期間中に、覚えているやりとりはありますか?

高木 何かな......。いろいろな話をしましたけど、やっぱり最後の試合(3位決定戦のカナダ戦)が終わった時ですかね。銅メダル獲得が決まった時のグラウンドでのことです。日差しが強かったので、お互いがサングラスをしていたんですけど、慎也は泣いていました。

 それを見て、僕が「よく頑張ったな」と声をかけたら、おそらく「すいませんでした......」と、ふり絞るような声が返ってきた。そのあとには、「ホッとしました」ということも言っていましたね。金メダル獲得が至上命題のように言われ、それが叶わなかった悔しさはもちろん大きかったと思いますが、壮絶なプレッシャーから解放された瞬間でもありましたから。

――ちなみに、現在の代表チームでキャプテンを担うとしたら誰になるでしょうか。

高木 ケガの状態が心配ですが、巨人の坂本(勇人)じゃないですか。チームでもキャプテンを担い、あの若さで2000本安打を達成するのは並の意志の強さじゃない。それでも、性格的にストイックすぎるかというと、余裕がある。緊張感だけではなくて緩みもあって笑顔も出せる。そう考えると、坂本しかいないかと思いましたが、ケガの回復状況によって再考しないといけないかもしれませんね......。

――ピッチャー陣はどういったタイプがいいですか?
 
高木 今は当時とは違うかもしれませんけど、球が速いだけのピッチャーは通用しないんですよ。まっすぐ一辺倒では、いくら速くても打ち返されるから、技巧派がいい。阪神の青柳(晃洋)などは、変則プラス技巧派という点でも魅力的ですね。

――球が速い投手でも、松坂投手のようにスライダーなどの変化球で組み立てられる投手がいいということでしょうか。

高木 そうですね。大輔もまっすぐだけだったら通用しなかった。上原(浩治)もフォークでカウントを整えて、勝負もできたから国際試合で強かったんです。そういう投手を揃えたいですね。

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