田中将大は「ハリネズミ」。楽天・石井一久監督がGMとの違い、チームづくりを語る (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

── その4人のベテランに割って入ってほしい若いピッチャーといえば、誰になるんですか。

「もちろん早川ですよね。あとは去年、ジャイアンツからトレードで来た髙田(萌生)は、真っすぐの勢い、変化球の精度ともにベテランたちに引けを取らない、ローテーションに値するピッチャーです。ただ弱点として、球種の使い方やカウント別の力の入れ方がまだわかってないので、そのあたりを経験させていきたいと思っています」

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── そんななか、やはり注目は田中将大投手です。監督も現役時代、メジャーからのオファーがあるなかで日本へ戻ることを選択しました。渡米前に78勝、メジャーの4年間で39勝を挙げて、日本へ復帰。古巣のスワローズで2年、ライオンズで6年投げて、帰国後の8年で65勝を挙げています。メジャーから日本へ戻った時のアジャストの難しさについてはよくご存知だと思います。

「とにかくメジャーのマウンドは硬いですからね。たとえば壁当てをする時、硬い壁って跳ね返りが早いじゃないですか。ということはマウンドが硬ければ、それだけ足の裏に伝わる跳ね返りの速度が速くなります。そうすると、パンッと一瞬で力が上半身に伝わりますから、リズムは取りやすいはずです。

 逆に日本のマウンドは柔らかいので、足を着いた時、土の中へ足が押し込まれて、もうワンテンポの溜めが必要になるんですよね。グーッと長くボールを持たなければならなくなるので、ずっと硬いところで投げていたピッチャーは、柔らかいところで投げるリズムにアジャストしていく必要に迫られます」

── 田中投手とはすでにその話をしたんでしょうか。

「彼に『マウンドが柔らかい分、一歩、ズッと入っていくから上半身のタイミングの取り方が難しいよね』と話したら、『そうなんですよね』と言っていて、ああ、同じ感覚を共有しているんだなと感じました。柔らかいマウンドならこうする、ということを田中はとっくに考えていると思いますし、対応して修正する能力の高いピッチャーですから、心配はありません。そもそも僕、考える能力がある人には自分の意見や価値観を押しつけませんからね(笑)」

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