佐々木、奥川より早くブレイクか。オリックス宮城大弥には制球力、分析力がある
『特集:We Love Baseball 2021』
ついに2012年プロ野球が開幕した。8年ぶりに日本球界復帰を果たした田中将大を筆頭に、捲土重来を期すベテラン、躍動するルーキーなど、見どころが満載。スポルティーバでは2021年シーズンがより楽しくなる記事を随時配信。野球の面白さをあますところなくお伝えする。
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楊舜臣(よう・しゅんしん)──。
野球マンガ『ダイヤのA』(作者・寺嶋裕二)に登場する右ピッチャーである。台湾から明川学園へ語学留学でやってきた、メガネが印象的なクールキャラだ。正確無比なコントロールから「精密機械」と呼ばれる右ピッチャーの名前を、バファローズの若きサウスポーが「理想」として挙げたから驚いた。19歳の宮城大弥はこう言っていた。
「真っすぐはキャッチャーが構えたところにピタッと投げられることが大前提だと思うんです。だからまずは制球力が一番、そこに球威を加えるみたいなイメージで言うと『ダイヤのA』の楊舜臣さんが理想です」
開幕ローテーション入りを果たしたオリックス2年目の宮城大弥 キャッチャーの構えたところへ投げ続けることで、ボール一個分外れたコースでも審判に右手を上げさせてしまう楊舜臣──宮城もまた、コントロールを武器にオープン戦で好投を続け、高卒2年目にして開幕2戦目の先発を任された。
最後のオープン戦となった3月20日のタイガース戦でも宮城は緩急を巧みに使って6回で11個の三振を奪い、しかも無四球という圧巻のピッチングを披露して、今シーズンのブレイクを予感させている。宮城はこうも言っていた。
「ここまでケガもなく、先発として少しずつでもいい感じできているのかなと思っています。課題はアウトコースの真っすぐかな。右、左バッターともにアウトコースの真っすぐを正確に投げられるよう意識して投げています」
バファローズは今シーズン、敵地でのライオンズ戦で開幕を迎える。所沢でのライオンズ戦といえば、宮城に蘇るのは昨年10月18日の記憶だ。
プロ初勝利を目指して先発のマウンドに立ったものの、2回に金子侑司、源田壮亮にタイムリーを打たれて3失点を喫した。しかし3回からは立ち直り、4イニング続けて3者凡退に斬って取るなど、6回を投げ切っている。結果、プロ初黒星を喫したこの試合、宮城にとっては打たれた記憶か、はたまた立ち直ることができた記憶か、どちらがより強く脳裏に刻まれているのだろう。
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