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稲村亜美の告白。イップスの苦悩「私にとってはダメージが大きかったです」 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 立松尚積●写真 photo by Tatematsu Naozumi

 イップスを医科学的に解明しようと取り組むイップスラボジャパンの石原心氏は、イップスに悩む野球選手にこんなアドバイスを送っているという。

「イップスになると、自動化できていた投球動作が崩壊してしまうんです。そこで、さまざまな大きさ、重さのボールをいろんな距離、標的に向かって投げることで、投球動作を再自動化するという方法があります」

 稲村さんは「何もかも、今までのものは捨てたほうがいいのかもしれませんね」と、感覚をリセットする可能性を示唆している。

 稲村さんの苦しみは野球をプレーした経験のある多くの人が共感できるものだろう。再起へのチャレンジは、イップスに悩まされるプレーヤーで溢れる野球界にとって大きな希望になるはずだ。

 稲村亜美さんがイップスから立ち直り、再び始球式のマウンドに戻ってこられたとしたら。その時には、今までとは違った拍手がスタジアムにこだまするに違いない。

「始球式の女王」は新たな一歩を踏み出そうとしている。

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