2021.03.18

稲村亜美の告白。イップスの苦悩「私にとってはダメージが大きかったです」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 立松尚積●写真 photo by Tatematsu Naozumi

『特集:We Love Baseball 2021』

 3月26日、いよいよプロ野球が開幕する。8年ぶりに日本球界復帰を果たした田中将大を筆頭に、捲土重来を期すベテラン、躍動するルーキーなど、見どころが満載。スポルティーバでは2021年シーズンがより楽しくなる記事を随時配信。野球の面白さをあますところなくお伝えする。

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始球式で多くのファンを魅了してきた稲村亜美さん始球式で多くのファンを魅了してきた稲村亜美さん 【稲村亜美インタビュー 後編】 

 稲村亜美さんは笑顔を絶やさぬまま、少し首をかしげて"カミングアウト"を始めた。

「3年くらい前にイップス気味になってしまって......。それからあまりボールを投げ込めていないんです。まずは肩を作らなきゃなぁと思っています」

 決して深刻なトーンではなかったが、常にポジティブな発言が目立つ稲村さんにしては珍しく、その言葉は悩みの色を濃くしていた。

「悩んでますねぇ~。どうにかしたい問題ではあるので、今年中になんとかカタをつけられたらと思うんですけど」

 稲村亜美さんといえば、2015年にウェブCMで披露した「神スイング」で一躍ブレイクし、その後はプロ野球の始球式に引っ張りだこになり、「始球式の女王」に君臨した。

 小・中学生時代に男子選手に混じって野球チームでプレーした経験があり、そのダイナミックな投球フォームは見る者をうならせてきた。自己最速スピードは103キロを計測している。

 もっとも相性のよかったマウンドは甲子園球場だという。

「甲子園は2回投げさせてもらって、2回とも100キロを超えていました。感覚的にすごくよかったですし、気持ちよかったですね。なにより憧れの甲子園のマウンドだったので、格別でした。お客さんがすごく近くに感じて、歓声が他の球場より数倍にも感じるんです」

 しかしその後、華やかに見える舞台裏で、稲村さんはもがき始める。

 コントロールが定まらない。今まで簡単に投げられていたところへボールがいかない。稲村さんは徐々に「イップス」を意識するようになった。