2021.03.01

「令和のON」を探せ。プロ野球の
未来を担う魅惑のスラッガーコンビは?

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

 全球団の春季キャンプが無観客での実施になるなど、プロ野球界もいまだにコロナ禍の真っただ中にある。

 野球に限らず、文化は常に人類の豊かな生活に寄り添ってきた。鬱屈した日々を吹き飛ばすような野球が見たい。そんな思いを抱く野球ファンも多いに違いない。

 そこで今回は「令和のONを探せ」というテーマで、いずれプロ球界の大看板になりうる大器たちを紹介していこう。

「ON」とは、言わずと知れた王貞治(ソフトバンク会長)と長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)の頭文字である。1965年~1973年の巨人V9時代をはじめ、プロ野球を国民的娯楽へと押し上げた昭和の大スターである。

 ONを引き合いに出す以上、単純に左右の若手の大砲を並べるだけでは芸がない。ONのように、野球に関心の薄い層までも惹きつける不思議な引力を持った選手をピックアップしてみたい。新時代の旗手ということで、今回は23歳以下の選手から選出した。

 令和のON誕生にもっとも近いのは、ヤクルトだろう。すでにO役の左打者は村上宗隆(21歳)という若きスターがいる。プロ2年目の2019年には184三振を喫しながら首脳陣の辛抱強い起用に応え、36本塁打をマーク。昨季は打率.307、28本塁打と確実性も増している。令和の大打者として、着実に階段を上っている。

 高くそびえたつ村上の肩に並ぶにはよほどの好素材でなければ難しい。それでも令和のN役として可能性を感じるのは、濱田太貴(20歳)である。

 大型スラッガーの村上と比べると体はひと回り小さいが、とにかく豪快なスイングを見せる。空振りを恐れず、大きなフォロースルーで相手投手にプレッシャーをかける。多少の失敗は大目に見たくなる、見る者に希望を抱かせる右打者だ。

 2018年のドラフト4位指名だが、ドラフト前には濱田の練習への取り組みを疑問視するスカウトもいたという。だが、綿密な調査の末にヤクルトは指名を決断。昨季は一軍で33試合に起用され、3本塁打と片鱗を見せている。

 濱田の才能が開花すれば、1歳違いの村上との息の長いコンビが形成されそうだ。