「令和のON」を探せ。プロ野球の未来を担う魅惑のスラッガーコンビは? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

 野村は清宮から1年遅れ、2018年ドラフト2位で入団。数々の名選手を発掘してきた大ベテラン・今成泰章スカウトに「どうしてもほしかったバッター」と言わしめる右の長距離砲だ。

 力強さよりも、柔らかく運ぶようなスイングが特徴。昨季は右手小指骨折による長期離脱に泣いたものの開幕スタメンを勝ち取り、21試合で打率.257、3本塁打を記録した。今季はフルシーズン万全に戦えたら、大ブレイクの期待もふくらむ。

 ただ、これは清宮にも言えることながら、守備面にネックがある。打ち取った当たりを着実にアウトにする、レギュラー三塁手としての守備力を身につけられるかが、成否を分けそうだ。

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 村上、清宮と同期でロッテに入団した安田尚憲(21歳)は、昨季は井口資仁監督の抜擢により一軍で規定打席に到達した。4番打者として87試合で起用され、打率.221、6本塁打、54打点。ソフトバンクとのクライマックスシリーズでは本塁打を放つなど活躍したものの、まだ試用期間の感は否めない。昨季は腰の故障で長期離脱したレアードが復帰する今季、真価が問われそうだ。

 左のホープが安田なら、右のホープは山口航輝(20歳)。明桜高2年時までは秋田県内でしのぎを削る金足農・吉田輝星(現日本ハム)以上と評判の好投手だった。だが、2年夏の秋田大会決勝で一塁帰塁時に右肩を脱臼。その後は打者として力をつけ、2018年ドラフト4位でロッテに入団している。

 183センチ、97キロの厚みのある体は打席に入るとさらに大きく見える。自分のタイミングでスイングできた際の打球は破壊力抜群。2年目の昨季はファーム70試合で打率.258、7本塁打とまずまずの成績を残した。今春キャンプでは松中信彦臨時コーチに師事し、打撃技術を伝授されている。

 安田、山口が大化けすれば、ロッテとしては珍しい高卒の和製大砲コンビになる。近年、育成に力を入れるロッテに新たな伝統を築けるだろうか。

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