2020.12.05

「2020年のFAは熱い」はずが…。
大物たちが残留するストーブリーグ事情

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

【短期連載】FAは誰を幸せにするのか?(1)

 日本シリーズが瞬く間に終わり、"ストーブリーグ"に突入した。メディアの報道やファンの関心は、来季に向けた人事や移籍が中心となっている。

 ストーブリーグは英語の「Hot Stove League」に由来する表現だ。メジャーリーグがオフシーズンになる冬、ファンたちがストーブを囲みながら好きなチームや選手の移籍から契約更改、果てはゴシップまで、あれこれ議論を楽しむことを示す言葉だった。それが日本でも定着し、主に移籍動向を表す表現として知られている。

動向が注目されていた山田哲人だったが、FA宣言はせずヤクルトに残留することになった コロナ禍で開幕が3カ月遅れ、パンデミックの影響がオフになっても続く2020年。今冬のストーブリーグで特に注目されるのは、菅野智之(巨人)、有原航平、西川遥輝(ともに日本ハム)のポスティングシステムによるメジャー移籍が実現されるのか。そして国内フリーエージェント(FA)権を保有する89人の動向だ(*97人が取得したが、8選手は現役引退)。

「2020年のFAは熱い」----。

 今季開幕前からそう言われてきた理由は、新たに国内FA権を取得した21選手のなかに"大物"が多く含まれるからだろう。

 2年連続で最優秀防御率、自身初の沢村賞に輝いた左腕投手の大野雄大はメジャーへのポスティングも含めて去就が注目されたなか、中日と年俸3億円プラス出来高の3年契約と報じられる条件で、FA権を行使せずに残留(※年俸はすべて推定、以下同)。今季年俸は1億3000万円プラス出来高だったが、FA権を取得したことで好条件を勝ち取った。

 もうひとりの目玉、過去3度トリプルスリーを達成している山田哲人もFA権を行使せず、ヤクルトと7年35億円プラス出来高とされる超大型契約を結んだ。「いつも『お金がない』と言っていたヤクルトだが、あるじゃないか」と球界関係者を驚かせた。

 各球団にとってコロナ禍による減収の影響は大きい一方、近年はスタジアムビジネスで順調に収益を伸ばしており、大物選手がこうした大型契約を結ぶケースは今後増えていくかもしれない。