「2020年のFAは熱い」はずが...。大物たちが残留するストーブリーグ事情 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

 2019年シーズン開幕前に則本昂大が楽天と総額21億円プラス出来高とされる7年契約を結んだように、長期契約は選手にとって雇用の安定、球団にとって戦力の確保というメリットがある(則本は同年オフにFA権を行使して残留表明)。

「複数年契約はうれしいですよ。それだけ活躍してくれると評価してくれるわけですから」

 昨年6月、FA権を取得した十亀剣(西武)はそう話した。十亀は同年オフにFA宣言し、西武と7000万円プラス出来高の3年契約で残留している。

 個人事業主であるプロ野球選手たちは、そのほとんどが単年契約だ。査定は1シーズンの評価で行なわれ、継続的な活躍をしても基本的に年俸には反映されない。その事実をあらためて知られたのが、2019年オフ、祖父江大輔と中日の契約交渉だった。

 2013年ドラフト5位でトヨタ自動車から入団した右腕投手の祖父江は、1年目から6年続けて毎年33試合以上に登板(平均43.8試合)。2019年はチーム4位の44試合に投げて防御率3.11を記録したが、100万円のダウン提示を受けた。その理由を加藤宏幸球団代表はこう説明している。

「彼はここ3年ぐらいの継続的な登板数を評価してほしいということ。(球団として)評価はするが、反映ポイントにない。それ(継続的な登板数)を評価してほしいなら、早くFAをとってくださいというのがこちらの主張」(スポニチアネックスの記事「中日・加藤代表 保留の祖父江とは継続的な登板数で『考え方に差』 44試合に登板もダウン提示か」。一部括弧内筆者)

 加藤代表が示唆するように、FA権を取得した選手、あるいは則本のように取得直前の選手には"プラスアルファ"の評価が加えられることもある。

DeNAロペスは11人目。国内FA権を取得した「助っ人」たちの功績>>

 それが顕著に表れたのが、昨年オフ、ソフトバンクからロッテにFA移籍した福田秀平のケースだ。2019年の年俸は3600万円だったのが、移籍市場に出たことで争奪戦が繰り広げられ、4年総額4億8000万円プラス出来高という好条件を手にした。

 プロ野球選手の"商品価値"を何より示すのが、契約条件だ。それは一般人の給料と変わらない一方、プロ野球選手の現役生活は限られる。

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