藤川球児が書いた「夢」の落書き。恩師ふたりが語る中高時代のエピソード (6ページ目)

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • Photo by Terashita Tomonori

【引退の予感、そして「これからの球児」へ】

ーーそして今年を迎えたわけですが、藤川投手が引退を決意した際に連絡などはあったんですか?

正木
 電話で「僕、ここまで本当によく投げてきましたよね」と話があったのは覚えています。僕としては今年2軍ではいつくばってでも250セーブ・名球会入りは達成してほしかったんですが、本人は高校時代から自分の意に沿わないことはしないし、1回言ったことは曲げない性格なので「これは引退するんだろうな」とその時感じました。でも、そこまでこだわりがあるから、ここまでできたとも思います。

上田 僕は去年の春先に甲子園に寄った際に電話したら「先生、駐車場も確保しています」ということがあって。今までそんなことがなかったので「これは最後かもしれない」と一度思ったことはあります。そして今年、「右肘が痛いです」という連絡があった時は「いよいよだな」と思いました。

 でも、引退試合で高知県から来た数多くの人たちの前で投げられたことは本当によかったと思います。引退セレモニーでリンドバーグの渡瀬マキさんに読んでいただいた球児の作文は、実は城北中での校内大会で一番になって、高知市内の弁論大会に出場する際に国語の先生に添削していただいたものなんですが、その国語の先生も僕と一緒に甲子園で見ることができた。よくやってくれました。

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